「大変だけど大変じゃない2年間,そして成長の幸せ」(先輩たちへのロング・インタビュー,第2回:菊入みゆきさん・後編)

恒例企画,「先輩たちへのロング・インタビュー」第2回の後編です。

第2回は,カウンセリングコース第23期の修了生で,かつ博士課程在籍中の,菊入みゆき(きくいり・みゆき)さんにお話を伺いました。現在はJTBモチベーションズ ワーク・モチベーション研究所所長,明星大学経済学部特任教授を務めておられます。後編では,入学された後の生活や講義の思い出,研究テーマへの思い,そして,受験を検討しておられる方々へのメッセージ・・・などをお聞きしました。

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入学後の生活,講義の日々

―ご入学されてからは,どのような点が印象に残っておられますか?
入学した後は,確かに大変っていえば大変でした。ですが,やっぱり面白い。新しいことを覚えていくのは,本当にいいことですね。仕事ですぐに使える・活かせることもあったりしますし,それに,そのことを先生にもう一度聞いたりもできますし。

―受けた講義の中で,記憶に残っているものはありますか?
一番覚えているのは,グループプロセスの講義ですね。すごく楽しかったです。グループワークの導入の一つに,クラスのみんなでお互いに,「わたしはあなたがすきです,なぜかというと・・・」という説明をするものがあったんですが,これが新鮮で!中には,涙ぐむ人もいたくらいです。

―たしかに,あらためてそういう話をされると,ほろっときてしまいそうですね…
どの講義も,先生方のパーソナリティが色濃く出てましたね。だから,すごく記憶に残っています。

―その他には,どんな講義が?
独特の優しい語り方の先生もいれば,すごく早口なのに話が分かりやすい先生もいて。また,院生から先生に対してキャリア・インタビューをしていく講義もありました。どの講義も新鮮でおもしろく,まるで洪水のような情報量で,おぼれそうになるくらいでしたが(笑),今でも,その頃のノートを大事に取ってあります。

―どれも,印象深い講義ばかりだったんですね。
特に,講義の中で,先生のご経験や知見に感動したり,また同期のクラスメートの存在を身近に感じられる講義は,強く印象に残っています。お互いのキャリアや価値観が多様で,とても刺激になりました。それに,みんなで飲みに行ったりも沢山しました…それが一番楽しかったかもしれません(笑)。

研究テーマを形にしていくプロセス

―夜間のさまざまな講義だけでなく,一人一人が研究テーマを決めて,それを追求していく…というプロセスが,社会人大学院の大きな特徴かと思いますが,菊入さんは,どのようにテーマを決めていったのでしょうか?
入学した時に考えていた研究テーマは,「経営者のモチベーション」に関するものでした。

―なるほど…
ただ,入学後にいろいろな人々と話しているうちに,変わっていきました。それで,先生方のご指導も受けながら,自分の関心を突き詰めていったのですが,ある時,自分が「心を動かされることは,何か?」ということを考えてみたんです。

―その発想が,一つのきっかけになったのでしょうか。
ええ。特に,「誰かが頑張っている姿に,自分は心を打たれる」…ということに気付いたんです。それで,これを研究にしよう!と。

―そこから,現在の研究テーマである「モチベーションの伝播」につながったわけですね!
そうなんです。そうして調べていくと,心理学の中に,モチベーションに関するいろいろな理論や研究が蓄積されていることも発見して,そこからどんどんと研究が進んでいきました。…でも,これも,「偶然」なのかな,とも思います。さっきの気付きも,ある意味偶然の産物ですし。

第1回のロング・インタビューでも,「偶然」という言葉が,キーワードでした。
そもそも,ワーク・モチベーションについて扱う会社に入社したのも偶然だったと思いますが,さらに,その会社の中で「モチベーション」ということを突き詰める中で,さらに関心や興味を深めていけた…という偶然にも恵まれたように思います。でも,キャリアって,そういうものなのかもしれませんね。

―偶然こそが大切であり,また,偶然の機会をどのように生かすかが大事である…と,関谷さんもおっしゃっていたのを思い出します。何度も,「たまたま」って言ってましたし(笑)。
「モチベーション」,そしてその伝播…というテーマと偶然に出会い,そのまま結婚したようなものですが(笑),たまたまそれを選んだだけであっても,それが良いものかどうかはわからないけれども,ずっと続けていくことで,一つの到達点に達することができるのだと思います。

―そうですね。どんな世界の第一人者も,例外なく「ずっと続けてきた人」ですしね。
ですから,時間ほど強いものはない,と思います。このことは,社会人大学院の中での2年間にも当てはまることではないでしょうか。

修士論文を執筆すること

―修士論文を書くのは,どんな感じでしたか?
…それはもう,すっごく大変でした!(笑)

―そうですよね…愚問でした,すみません(笑)。
年末年始に一気にラストスパートをかけたんですが,9日間くらいずっと通して,自宅のリビングにある机をマイワールドにして(笑)。そこから一歩も動かず,なんとか7割くらいまで書き上げました!! この後,提出までまだひと山あるのですが・・・

―遅ればせながら,大変お疲れ様でした…
論文となると,通常の文書などとは書き方や作法も違ったので,苦労もありましたが,それを同期のみんなで支えあって乗り越えたのも印象に残っています。お互いにいっぱいメールを出し合って,互いを励ましてました。除夜の鐘が鳴りそうな頃に,「そういえば,息子に年越しそばを茹でなくては!間に合わないかも!!」ってメールに,「大丈夫,そばなら3分間でOKだから」って返信があったりも(笑)。

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(年末年始,修士論文執筆中の様子:菊入さんのブログより)

―院生同士の支えあう雰囲気も,このコースの特色なのかもしれませんね。みなさんが同じように苦労されているからこそ,それをお互いに知っているからこそ,助け合えるというか。
お祭り騒ぎのような感じもありましたが(笑),「みんなで一緒に修了しよう」という思いが強かったと思います。

―こうして書き上げた修士論文は,一生モノ!ですね。
そうですね。でも,こうして学んだことや,論文として形にしたことは,「現場でも生きる」ということも実感しています。調査に関する仕事を元々やっていたので,統計法やデータ解析法の講義の中で得られた知識は,そのまま生かせたということもありました。

―修士論文を書く中で,統計や分析が一つの難関ではありますが,修了後はそれが最大の武器にもなりますね。
それに,モチベーションに関して修士論文を書く中で,過去の心理学的理論や先行研究を沢山調べたのですが,それらの知識を会社にフィードバックできた,という面もありました。会社にも協力を得ていたので,修士論文の結果を会社でプレゼンしたりもして。

―確かに,社会人大学院の修士論文は,現場ならではの視点をフルに生かしたものが多いですし,実際の仕事場面で活用できるデータもたくさんありますよね。
ええ。また,修士論文を書く中で,現場で起きている様々な問題や現象と,学術的な知見や成果を結びつけるというスキルも自然と身についていた…ということもあったのかもしれません。

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(提出された修士論文:菊入さんのブログより)

受験される方々,受験を検討している方々へのメッセージ

―最後になりますが,受験を予定している方や,関心をお持ちの方へ,何かメッセージを頂けないでしょうか。
そうですね…社会人大学院の2年間って,確かにすごく大変でしたけど,それが終わってからの次の2年間って,何だかあっという間に過ぎて行ってしまったんですよね。何もしなくても,同じように時間が経ってしまうなら,何かしたほうが絶対にいいなと実感しました。

―なるほど…そうした思いもあり,博士課程への進学も決意され,現在に至るということですね。
それくらいに,修士課程の2年間はすごく良い時間の過ごし方だったと思います。同期の修了生のなかには,修士号を取ったことで,自分のやりたいことがさらに見つかり,また新たに歩みを進めていった人もいます。私自身も,明星大学の特任教授として兼職するスタートを切り,仕事の幅を広げるきっかけになりました。ですから,自分への投資と考えるのであれば,すごくいい時間の過ごし方になるはずです。

―2年間を通していろいろな知識やスキルを得ただけでなく,自分の方向性や世界を確立し,大きく展開させるターニングポイントを得られた…という感じでしょうか。
それに,仕事と研究を両立できることを,家族や周りに伝えられるということも,大きな意味があるように思うんです。仕事とは別に,自分を成長させようとしている…という姿が,周りにも伝わって,新たなやる気を刺激するというような。

―まさに,菊入さんのご研究の「モチベーションの伝播」そのものですね!
実際に,私の周りの人も,社会人大学院に行ってみようと思う人がちらほら出始めました。夫も,小さい頃からピアノが趣味だったんですが,もう一回音大に入りなおしたい!と言っていたりします。

―2年間の成果はご本人だけでなく,周囲の方々にとっても,意味のあるものになるのかもしれませんね。
だから,もし,進学や受験を迷っている人がいたら,私は絶対おすすめしますね(笑)。確かに大変な部分もありますが,自分をレールに載せさえすれば,あとはしっかり先生方がサポートしてくれますから。それに乗ってがんばればいいので,ある意味,大変じゃないとも言えるんです。

なので,ちょっとでもいいなと思っている方がいたら,是非ともチャレンジしてみてください。この「大変だけど,大変じゃない」2年間を,そして,修了した時に感じるずっしりとした「成長の幸せ」を,他の方々にも是非とも味わって欲しいと思います。

―ありがとうございました!まさにいま,モチベーションを伝播して頂いた気がします!!

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