「為さなければ,成らない」(先輩たちへのロング・インタビュー,第1回:関谷大輝さん・後編)

新企画,「先輩たちへのロング・インタビュー」第1回の後編です。

第1回は,カウンセリングコース第16期の修了生で,現在は東京成徳大学・応用心理学部福祉心理学科にて准教授として勤務されている,関谷大輝(せきや・だいき)さんにインタビューをいたしました。後編では,在籍中に感じたこと,そして,学んだことがどのように役立っているか・・・などについて,お話しいただきました。

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在学中の生活

―本コースに入学された後にも,お仕事は続けておられたと伺っています。
はい,そうです。でも,入学した年に,それまで入っていた横浜の独身寮から出て行くことになったので,埼玉の実家に帰ることにしました。

―と,いうことは…
横浜で仕事して,終わったら茗荷谷,それから埼玉に帰宅,という生活(笑)。

―それはすごく大変だったんじゃないですか!?
ええ,本当に(笑)。合格した後は,正直,「本当にやれるのか?」という不安も強かったです。現職の社会人が,いったいどうやって両立しているのか?とか,授業に遅刻したらどうなるのか?とか。それに,修士論文というのが,本当に書けるのか?どうやってかけるようになるのか?という点も,すごく気にしていましたね。

―確かに,お仕事を続けながらの通学には,不安もあったかと思います。
でも,「もう行くっきゃない!」と思いながら,電車の乗り継ぎもかなり調べたりして(笑)。今思うと,毎日疲れていたし,忙しかったけれども,面白くて,まったく苦痛ではなかったのをよく覚えています。また,学生証を手にできて,「やっと大学院生になれた!」という意識もありました。

電車でいつの間にか寝ていた…というのも,何回も経験していたように思います(笑)。ただ,大変だからこそ,「楽しかった」「充実していた」という思いもひとしおでした。

―そうですね。学ぶことは大変ですが,同時に楽しさもありますね。
とある映画監督の言葉にも,「大事なものは,たいていめんどくさい」という言葉があって。「大変さ」っていうのは,「楽しさ」の必要条件なんでしょうね。

仕事に生かされたもの

―通学されていた時は,どのようにお仕事を続けておられましたでしょうか?
それまでと同じく仕事は続けていましたが,夜間に通学しなくてはならないので,基本,残業がしにくくなりました。なので仕事中は,作業効率を,常に,最大限に考えて行動するようになった気がします。

―そうですね…仕事と学業の両立となると,苦労もおありだったかと。
職場の人に調査の協力をしていただいたこともありますし,仕事の面でもご迷惑をおかけした部分もあったかと思います。当時の同僚・先輩諸氏には,いまでも本当に感謝しています。

―では,仕事を続けながら通学する,社会人大学院ならではのメリットについては,どのようにお考えですか?
もちろん,大学院で学んだことが,そのままダイレクトに仕事に生きる部分もあると思います。ですが,自分にとっては,心理学の理論を職場に適用するように なったというより,人間を捉えるための「視点」や「考え方」の枠組みを,指導教員から叩き込まれた…という感覚が強いですね。

今思えば,それが,現場に出たとき,直接的にも間接的にも,とても役立っていたと感じています。大学院の中で学ぶものは,一人一人によって違うでしょうけれども,得られるものはすごく大きいんじゃないかと。

―指導教員の先生とは,どのように出会ったんでしょうか。
年に何回か,研究構想発表会があるのですが,その終わりに,明確な方向性を与えてくれたのがその先生だったんですけれども・・・それも,たまたまですかね(笑)。

―出ました!前回に引き続きの,たまたま(笑)。
そう,たまたま(笑)。しかしその先生との出会いが,研究の面白さに気づいたきっかけでもありました。

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筑波大学東京キャンパス内の一室にて

「実践の知」を「研究の知」へ

―関谷さんは,修士課程を修了された後,博士課程にも進学されたんですよね。
修士論文を書いている最中,自分の中のテーマを追いかけながら,「本物の修士論文を書いてみよう」と常々思っていました。学部では卒論を書いていなかったこともありましたし,初めての論文でしたし。何より,自分にとっても,他人にとっても納得がいくようなものを書きたかったんです。

そのプロセスは,すごく大変だったけど,やっぱり面白かった。で,書き上げてから,「これで終わりというのは,もったいない」と感じたんです。

―その思いが,さらに研究の道へ進むきっかけになったと。
修士論文を書いてからの2年間,研究の成果を,いくつかの学会で発表してみたり,国際学会でも出してみたりしました。そしたら,それが面白かった!普通の職場では味わえないような,別世界がそこにあった!!という感じでした。

そうしているうちに,指導教員の先生から誘いもあったし,プロの研究者への憧れも生じてきたし…ということで,進学を考えるようになりました。 

―確かにこのコースでは,修了後にも,研究成果を発信する方が多いですしね。
私が進学を考え始めた頃というのは,ちょうど博士課程(生涯発達科学専攻)が新設されるタイミングでもあったんです。だから,その時も,たまたま?(笑)

―また頂きました,たまたま!(笑)
ですね(笑)。でも,たまたま,で転がってきたものの,今までやってきたことが,いつも次につながってきたという思いもあるんです。「今できることをちゃんとやらなくては」,そして,「あの「たまたま」が,後で良かったと思えるように,今頑張りたい」というような。

―そうですね。「偶然」というのも,大切なきっかけですよね。
キャリア心理学のなかの考え方にも,「プランド・ハプスタンス(Planned Happenstance)」というものがあるんです。個人のキャリアの8割位は,予想もしないような出来事や機会によって決定する,という考えで。それはつまり,たまたまの機会を,どううまく捉えていくかが大事なんだ,ということにも通じてきます。

こういう説と,自分の生き方がつながってくるとは,思いもしませんでしたが(笑)。

これから受験される方へ

―それでは最後に,コースへの受験を考えておられる方々に,メッセージをお願いします。
このコースを修了してみて思うのは,心理学のなかのたくさんの領域を,客観的に捉えられるという点,そして,職場での様々な経験や問題を,研究の対象としながら解決することに力を入れている点が,このコースの強みなのかもしれない,ということですね。

―なるほど…
ですから,「行ったほうがよかったな」と思うよりも,やらないで後悔するよりも,まずはやって後悔した方がいい!という気がします。仮に途中で迷ったとしても,それまでのプロセスが必ず役に立ちます。

―前回の「とりあえず,半歩踏み出す」ということにも,つながってきますね。
今,私の研究室に,「為せば成る」と書かれた箱に入った日本酒が置いてあるんです。ですが私は,その言葉は嘘だと思います。例えば,いくら為したって,うまくいかなくて,何も成らないことはありますよね。だから,為せば成る,というのは偽だと。

でも,その逆さま,論理学的には「裏」というやつですが,「為さなければ,成らない」。これは,真だと感じています。為さなければ絶対に何も起こらないし,為したとき,きっとそこに何かはある。これから受験される方々も,それは同じだと思います。

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学位記とともに,”逆さま”に置かれた「為せば成る」

―ありがとうございました!

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