修士はゴールではなく、自分の研究のためのスタート

鹿嶋 真弓さん  中学校教員 第15期生 修士(カウンセリング)

この歳になり大学院で学べるとは,何と贅沢なことでしょう.職場の理解はもちろん,家族の協力がなければ成し得ないことでした.さらには,私自身,体力と記憶力・思考力の限界へのチャレンジでもありました.

修論を書き終えこの2年間を振り返ると,すべては大きな流れの中で,みごとにプログラミングされていたように感じます.無我夢中で,自分とじっくりと向かい合った2年間.ゼミでは,何が良くて,何がまずいのかさえわからず,言いたいことを言っていました.
今思うと,私はお釈迦様(田上先生)の手のひらで飛び回る孫悟空のようでした.瞑想から妄想,妄想から構想,構想から研究へと…果たしてうまく着地できたのかどうか,結果は今後の研究しだい.
湯川先生の「はじめから『いい研究』なんてできないんです.きっと2つ目,3つ目で初めて『いい研究』になっていくんですよ」との言葉も今になって,やっと理解できました.
修士論文としてまとめていく上で,研究モデルの組み立て方,仮説の立て方,測定の仕方,質問紙の作成,分析の仕方,さらには論文の書き方まで,広く学ぶことができました.つまり私は,第一線でご活躍のすばらしい先生方のご指導を受け,その先生方の鋭い切り口に触れ,研究の焦点を絞りながらも,幅と深みのある心理学的な研究方法とは何かを学んだわけです.
こう考えると,実は修士はゴールではなく,今後自分で研究していくためのスタート地点だったのです.

中学校での教え子たちが,卒業後も幸せに生活して欲しいとの思いから“ I am OK. ”こそ幸せのパスポートと考え研究を進めてきました.
文献や先行研究を読みゼミで討論していくうちに,青年前期のアイデンティティ形成について考えるようになりました.まさに図から地へ,地から図となった瞬間でした.日々の教育活動の中で,生徒と生徒,生徒と教師の人間関係が,中学生の心理的充実感にどのように影響を与えているか,その様子がわかれば,この切り口からも,学校現場で教師として何が重要なのかが明らかになると考えています.
私は以上の考えから,筑波でご指導いただいた先生方や仲間に感謝しつつ『充実感』をキーワードに,さらに研究を深めて行くこうと思っています.