カウンセリングコースでの2年間

勝野 美江さん 第23期生 農林水産省 修士(カウンセリング)

振り返れば、2年間の大学院生活は、中身の濃い充実した人生の中でかけがえのない期間だったと思います。
私が社会人大学院で心理学を学びたいと考えた最も大きな理由は、長く仕事を続けてきて、人生の後半戦をどのように歩んでいこうかと考えた時に、このままずるずると流されていくよりはむしろ、自分のやりたいことをやっていきたいと思ったということがありました。

私は、農林水産省に勤務し、子どもたちに食べ物の大切さを実感してもらい、食べることの大切さを理解してもらいたい、その先にある農業の大変さ、素晴らしさを体験してもらいたい、と思い仕事をしてきました。直接、そうした仕事(食育の担当をしたこともありました)をしていた時期もありましたが、残念ながら、公務員の仕事は、数年で担当を異動しなければならないため、私がやりたいことを直接担当していたのはほんの一時期でした(自分のやりたい仕事を担当できること自体ラッキーなことだと言われています)。

プライベートの活動でも、知人の農家の方が、地域の保育園、小学校の子どもたちの農業体験をサポートするのをお手伝いしたり(たまに一緒に田植えをしたり、稲刈りをしたりという程度でしたが)ということも続けていました。そして、もっと、多くの子どもたちにこういう体験をして欲しい、点の活動を面に広げていきたいと思いました。そのためには、子どもの頃の農業体験がどれほど子どもたちにとって素晴らしい経験になるのかを科学的に実証することが必要だと考えました。私が食育という仕事をしていた際に、こうしたことを手がけるプロジェクトを立ち上げ、やっと全国展開するという矢先に、異動になってしまいました。そのことが、とても心残りで、自分でやりとげたいという強い思いがありました。やりたいことを実現するために何ができるか・・・ということをいろいろ模索していた時にみつけたのが、この筑波大学の社会人大学院のコースでした。ここなら、仕事を続けながら、私のやりたいことができる!とすぐに受験をしようと考え、なんとかすべりこみセーフ?で入学させていただきました。

いざ、入学できるとなると、ちょうど大学院に入学するタイミングで職場の人事異動もあったため、ちゃんと授業に出られるかとても不安でした。しかし、案ずるより生むがやすしで、職場の理解も得て、仕事が忙しい時は、授業に遅刻してしまったり、授業が終わってからも職場に戻ったりということもありましたが、やりくりできました。また、心理学というのは、本格的に勉強したことがなかったこともあり、何もかもが新鮮で、わくわくしながら授業を受けました。学ぶことが楽しい!と思ったのも久しぶりだったように思います。

大学院の1年生から、研究構想を発表する機会が年に3回設けられており、自分のやりたい研究について、文章にまとめて、先生方にアドバイスをいただきました。ここで、私は学問の壁にぶちあたりました。私が、農業体験は素晴らしいと思っていることを心理学の言葉に翻訳しなければいけないのですが、元々心理学を専攻していなかった私にとってはその作業がとても難しく、どうやったら、心理学の世界の人たちに理解してもらえるのか・・・・ということに苦しみました。私のように、心理学を大学時代専攻して来られなかった方は、同じような壁にぶつかっているようでした。

2年生になって、ゼミが始まり、関連する先行研究を読みあさっていくうちに、ようやく、こういう方向でどうかな・・・というものをみつけることができ、なんとか形にして、修士論文を書き上げることができました。修士論文を書くというのは、まさに産みの苦しみで、非常につらい日々でしたが、新たな発見があったり、これだ!と思う、ひらめきがあったりという、楽しさもありました。

1年生が仲間と一緒にクラスという久しぶりの感覚を味わえた期間であるとしたら、2年生の1年間は、まさに自分との戦いの1年でした。社会人ですから、短い夏休み、冬休みの期間をうまく利用したり、土日のうち必ず1日は研究に費やすという固い?決心をして、どこにも出かけず、家にこもって研究するというストイックな生活を送りました(おかげで運動不足に陥りましたが・・)。もちろん、ゼミの仲間もいますし、発表会の後に久しぶりにクラス全員集まっての飲み会を開いたりというイベントもあったりと、仲間がいることが励みになり、がんばれたのだと思います。

最初は多くの方に農業の素晴らしさを理解してもらいたい、という思いから、子どもの頃から農業体験をすることが大事・・・と思っていた私でしたが、子どもたちに関わってみると、こうした体験こそがバーチャルな世界に生きる現代の子どもたちに必要であると思うようになったという背景があり、強い信念を持って書き上げた修士論文でした。
まだまだ、思い半ばでさらに研究を継続している途中ではありますが、1人でも多くの子どもたちに農業体験の機会を広げられるよう、さらなる研究の発展を目指してがんばりたいと思っています。

最後に、23期の仲間たちや、ゼミの先輩、後輩のみなさん、カウンセリングコースの先生方、事務の方々に大変お世話になったことは、言葉に尽くせません。皆様なくしては、この2年間はなかったと思います。素敵な充実した2年間をありがとうございました。