入学の動機,カウンセリングコースでの2年間,修了して思うこと

山口奏江さん 第27期生 修士(カウンセリング)

■入学の動機
私がカウンセリングに関心を持った最初のきっかけは約10年前、民間企業の採用担当として、採用した社員が入社後に疲弊する様子を見た時、自分に何かできないかと思い、産業カウンセリングの勉強を開始したことです。 しかし、人事部門の者が社員のカウンセリングをすることは現実的には難しく、仕事にどう活かせるかはわからないまま、自分なりのペースで学習を継続していました。
また、私の企業は、男性かつエンジニアが中心の職場です。女性社員が少しずつ増えているものの、これまでは男性並みにパワフルな女性だけが会社で長く生き抜いていけるイメージがありました。
髪を振り乱さなくても、女性が自分らしくキャリアを積むためにはどのような形がいいのか、女性のキャリアを前向きな形で支えたい、そのような思いがありました。
「課題に対して何かしたいけれど、どうしたら良いか分からない」当時の私にとって、カウンセリングコースへの入学は、新たな一歩を踏み出す為の、大きな扉を開くことができるように感じました。
自分なりに情報収集をした結果、オープンキャンパスで触れた雰囲気やコースの方針に惹かれ、是非筑波で学びたいと思い受験しました。

■1年目
入学当初は、「ものすごい所に、普通の会社員が入ってしまった」という思いが強くありました。同期の誰もが、心理や医療も含めて様々な業界や現場の第一線で活躍している方だったからです。 しかし、授業はとにかく参加型。
自信があろうと無かろうと、グループワーク、プレゼンテーション等、どんどん参加します。
「聴くだけ」の講義はありません。先生方は、常に私たちに何を感じたかを問い、そしてそれを学生たちが共有する機会が多くありました。

カウンセリングコースは、業界・経験の多様性が見事に尊重される場所です。
それは、カウンセリングコースのカリキュラム構成の巧さだけでなく、先生そして学生たちの関わり方が大きく影響していると思います。

「普通の会社員」と思っていた私の経験が、学校や医療・福祉の業界の同期にとっては目新しさがあることも知りました。課題に取り組む時には、お互いの経験や強みを活かし、そして支えあいました。
レポートの提出も多くありますが、私が学生時代に提出していたレポートと異なり、ある時は職場の課題を振り返り、ある時は誰かを思い、ある時は苦しむ人のことを自分なりに感じるものでした。まさに社会人としての経験を踏まえて、自分の価値観を見つめ直すことにも繋がりました。

■2年目
2年目は全員がゼミに所属し、指導教授のもとで研究を進めます。1年間という短い期間ではありますが、指導教授のもと、研究に対する姿勢を学ばせていただいたことは、大きな財産となりました。 どのゼミも、各自の課題に沿った研究テーマを指導してくださいます。 指導教授は、私が解決したい課題を丁寧に聴いてくださり、常に私の考えを尊重し、研究の方向性を多角的に示してくださいました。

私の研究テーマは、女性の昇進意欲に関するものでした。
研究にあたり、女性管理職ならではの経験を積まれた方、企業の女性活躍推進やダイバーシティ推進に奔走されている方、各企業の取組みを客観的に分析された有識者の皆様に、大変貴重な話を聴かせていただきました。
現場の声を聴きながら、研究の道筋を固めていった私は、なかなか具体的なものが見いだせない時期もありました。
しかし、指導教授は決して焦らせず、とにかく現場の声に耳を傾けることを重視し、私が面接した多くの面接記録も全て目を通してくださいました。
また、私の場合は、ゼミ生が2人というとても贅沢な環境でした。個別指導ではありましたが、私の研究には、「今の現場の声」が必要であることをゼミの同期も共有してくれました。
そして、自身の研究で多忙の中、私の研究課題にも関心を寄せ、知見を深める機会を多数案内して下さり、自身の人脈も惜しみなく紹介してくれました。結果として、カウンセリングコースに入らなければ、絶対に出会わなかった有識者の方々に出会い、大変貴重な話を聴かせていただきました。
ゼミの形式や指導内容は様々ですが、カウンセリングコースの先生方すべてに共通して言えることは、研究の構想発表や中間発表において、「社会・現場にどう貢献できるか」という視点でアドバイスをくださることです。
その度に、「なぜこの研究をしているのか。当初の課題意識は何か。現場に知見をいかに還元できるか。」ということに立ち返りながら研究を進めることができました。

■修了して思うこと
今思うと、2年間、どのように時間を作り、乗り越えたかをうまく思い出せないほど、駆け抜けました。特に2年目は、調査協力者の方々の思いや苦労が、研究や修士論文に苦戦する中で、大きな支えとなりました。
修士論文提出後は、しばらく放心状態でしたが、世の中に出さなければ、協力していただいた方に申し訳ない。それが今の私を改めて奮い立たせています。カウンセリングコースで学べたこと、素晴らしい先生方、先輩方、同期、研究協力者の方々に出会えたこと、全てのご縁に心から感謝申し上げます。