筑波大学

 教育学に皆さんの若々しいエネルギーを!

                   教育学類長  吉 田 武 男

筑波大学では学群・学類の再編により、平成19年度より、新たに人間学群が発足し、これまでの人間学類教育学主専攻が「独立」して教育学類(定員35名)という人間学群を構成するひとつの学類として新たにスタートしました。平成22年度末には、最初の卒業生を送り出すことができました。

人間形成の意図的・計画的営みとしての教育は、今日、乳幼児教育から青少年教育、高齢者教育まで多様な形態をとり、かつ、家庭、学校、地域社会、全体社会、国際社会のさまざまなレベルで多層的に展開されています。教育学類は、教育学−すなわち、教育をめぐる諸問題を科学的に解明し、その科学的な理解に基づいて教育の改善をめざす学問的な営為である教育学−を学ぶことを通して、現代社会が求める教育学的専門知識を有する人材を育成することを目的とします。それは、大きく、(1)地域、学校、国・自治体、そして国際機関など、さまざまな分野において、教育の専門家として活躍できる人材の育成、(2)教育研究者を志望する人材の育成とに分けられます。

教育学類では、そのために、教育学をさまざまな角度から総合的に学ぶことができるような仕組みを設定しています。それが「人間形成系列」「教育計画・設計系列」「地域・国際教育系列」「学校教育開発系列」という4つの系列です。

人間形成系列は、ヒトはどのようにして人間になるのか、教育という営みは、どのように変化してきたのか、という基本的な問いを探求する系列です。授業科目としては、教育哲学、日本教育史、西洋教育史などがあります。

教育計画・設計系列とは、システムとしての教育という側面に着目して、教育のシステムはだれが計画し、どのような考えで設計され、そして、どう動いているのか、あるいはまた、これからの教育システムはどのような考えで計画し設計すればよいのかを中心的な問いとして探求する系列です。ここには、教育制度論、教育行政・財政論、教育法制論、学校経営論などを通して、教育が行われる場を支える土台に関わる諸問題について理論的・実証的に学ぶことになります。

地域・国際教育系列は、教育という営みを、地域の中の教育というローカルレベルから国際社会の中の教育というグローバルレベルまで視野に入れながら、そこにおける社会的(経済的、政治的、文化的)文脈との関わりの中で、解明することを中心的な主題とする系列です。この系列の授業科目は、教育社会学、生涯学習論、比較教育文化論などの基礎理論的なものから、教育援助政策論、人権・平和教育論、国際理解教育論などの具体的な実践に関わるものまで多彩です。

学校教育開発系列は、フォーマルな教育の場としての学校が、日々成長を遂げる児童・生徒の学習・生活環境として、どうなっているのか、どうすれば、学習と生活を支援するよりよい環境になるのかを探求する系列です。この系列には、社会認識教育論、言語教育論、科学教育論、文学教育論など、教科教育学に関わる授業科目や、教育工学、教育臨床学、学校カウンセリング論などが含まれます。

学生は、これらの系列の中から特に関心のある系列を選んで重点的に学びながら、他方で、これらの系列に属する授業科目を万遍なく学ぶことになります。それにより、狭い専門性に特化されない、多元的・多角的な視座から、教育問題に対する総合的な見方・考え方を獲得することになるのです。

これらの教育学教育を担当するのは、明治以来、連綿として受け継がれてきた「教育学の総本山」としての筑波教育学(茗渓教育学)の歴史と伝統のなかで培われ、それぞれの領域において日本の教育学研究をリードしている教育学域所属の30余名の教授陣です。大いに期待して下さい。

なお、筑波大学は教員養成大学ではありませんが、小学校・中学校・高等学校の教員免許が取得できます。国語、社会、英語、あるいは、数学、理科の教員免許を取得し、都道府県の教育界でリーダー的な地位について活躍している卒業生も少なくありません。

また、筑波大学には、大学院として修士課程(2年制)と博士課程(前期課程2年と後期課程3年)とがあります。修士課程の教育研究科は学校現場で活躍する優れたスクールリーダーを養成することをねらいとしており、専修免許状が取得できますが、専修免許状を取得しながら教育の専門研究者を志すことも可能であり、そうした学生も少なくありません。

博士課程は、研究者養成を主要な目的としています。教育学類の学生に関連する研究科・専攻として、人間総合科学研究科の博士前期課程「教育学専攻」と、博士後期課程「教育基礎学専攻」「学校教育学専攻」「ヒューマン・ケア科学専攻(共生教育学分野)」があります。卒業後は、主として、大学などの高等教育機関における教師教育に携わることになるので、教育研究者は、同時にわが国の教員養成を担う重要な人材でもあります。いわば、「教師を育てる教師」「教師の教師」です。教職に興味のあるみなさん、このような道もあります。

教育の営みの高度化・複雑化に伴い、その目的、内容と方法、制度について、さまざまな問題が提起され、その科学的理解をめざす理論的・実証的研究とともに、問題解決をめざす政策的研究がますます求められています。教育問題に対する新鮮な好奇心と鋭い問題意識、そして、若々しいエネルギーを教育学の学習と研究に注いでみませんか。高校生諸君の、筑波大学教育学類への入学を心から期待しています。