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教育基礎学専攻(博士後期課程)

 教育基礎学専攻は,教育学研究者の養成を目的とした大学院博士後期課程です。本専攻で所定の課程を修めると,博士(教育学)の学位を授与されることになります。

 教育は時代や場所の違いを超えて不可欠の営みです。人間は教育を通じて社会を創り,社会は教育を通して人間を育ててきました。しかし,目まぐるしい社会変動の中で,教育を取り巻く状況は複雑化し,解決されるべき多くの課題を抱えています。

 日本では,明治期以来の社会の発展を支えてきた学校教育が正統性を揺るがされ,その在り方の再考が求められています。高度情報化社会の到来,様々な領域での国際化・グローバル化の要請,少子高齢化の急速な進行,生涯学習社会への移行と高学歴化のさらなる進行,「政府の失敗」「市場の失敗」を踏まえたガバナンスの再構築などなど。これまで形成されてきた価値観や基本的前提を大きく揺さぶる要素は枚挙に暇がありません。およそそれらのすべてが,今後の教育の在り方を左右すると言えるでしょう。

 そもそも人間にとって教育とは何か? 社会がどのように変化しても守り続けるべき教育の本質とは何か? われわれ人間の生き方を真に豊かにするために教育はどうあるべきか? 未来社会に向けて,学校をはじめとする教育のシステムをどう再構築していくべきなのか? そして,新しい教育のシステムを人間と社会にとってよりよいものにしていくにはどうすればよいのか?
教育学は,これまで蓄積されてきた学問的知見を踏まえつつ,これらの切実な問いに真摯に応えていく責務を負っています。教育現実を規定する要因はますます多岐にわたり,容易に把握できないほど入り組んでいます。ダイナミックに変わり続ける教育の営みの断片や表層のみを切り取っても,短絡的な議論の材料にしかならないでしょう。広い視野をもち,多種多様なアングルから深く切り込んでいく研究が必要とされています。

 本専攻は,教育学に課せられた以上のような課題に対して,教育哲学,日本教育史,外国教育史,生涯学習・社会教育学、教育制度学,教育行政学,学校経営学,比較・国際教育学,教育組織開発論,教育社会学という10の分野の特色を生かしたアプローチをもって応えていこうとしています。

 いうまでもなく,筑波大学は1872(明治5)年に日本初の官立学校として唯一創設された師範学校を出自とします。その後の高等師範学校,東京文理科大学,東京教育大学という前身校の展開は公教育の発展と歩みをともにし,「教育の総本山」とも称されてきました。その学統を引き継ぐ本専攻は,先人が遺した足跡の重厚さに最大の敬意を払いつつも,より鋭利な問題意識と斬新なアプローチによって,新たな研究に挑み続けています。哲学,歴史学,政治学,行政学,法学,経済学,社会学,経営学,文化人類学,民俗学,情報科学など,関連する学問領域の最新成果を貪欲に取り込みながら,教育学のさらなる発展に寄与しようと努めています。

 本専攻の大学院生は10の分野の研究室に所属しますが,必要に応じて専攻内外の教授陣から指導助言を受けられる柔軟な指導体制をとっています。前身校の出身者を含めて,全国の大学や研究機関等で活躍する多くの先輩諸氏と研究交流できることも本専攻の大きな強みです。

 熱い志を抱いて教育学研究者を目指す皆さんに,ぜひ本専攻の門を叩いていただきたいと思います。われわれと一緒に,常に冷静な眼で教育の本質を見つめながら教育学の新たな地平を切り拓いていきましょう。

教育基礎学専攻長 浜田博文