HOME学生への質問紙調査
学生への質問紙調査は,2007(平成19)年11月8日(木)の特別授業の実施時に行いました。質問紙の設問は,次の二つです。
問1は特別授業実施前に,問2は特別授業実施後に記入してもらいました。質問紙への回答者は125名です。次に分析結果を示します。
まず問1から,学生がどのような社会活動に関わってきたか(関わっているか)を理解することができました。次の【表1】は,学生の経験を七つに分類しています。なお,学生に中には,複数の社会活動に関与している者もたくさんいるため,回答者数を合計すると必ずしも125名にはなっていません。(合計は,196名という数になります。)
地域活動 | 教育支援 | 社会福祉 | その他 | 未経験 | |||
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児童福祉 | 高齢者福祉 | 障害者福祉 | |||||
回答者数 | 69 | 19 | 28 | 41 | 25 | 14 | 5 |
※1「地域活動」には,地方自治体や学校が主催する地域社会における活動(清掃活動等)が含まれます。
※2「教育支援」には,学校における支援活動や,キャンプや児童館で子どもに一緒に遊ぶこと等が含まれます。
※3「その他」には,行政への提案や災害復旧活動等が含まれます。
最も多い社会活動が,地域活動でした。その地域活動の内容を細かく見てみると,清掃活動やリサイクル活動等の環境に関する社会活動が多くを占めていることがわかりました。これは,今日の学校教育(小学校・中学校・高校)において,この種の社会活動が非常に頻繁に実施されていることの表れだと思います。
次に多い社会活動が,高齢者福祉でした。これに児童福祉と障害者福祉を含めた社会福祉の総計は,地域活動よりも多い値になります。ボランティア活動というと福祉活動を連想する人が多いと思います。実際にそうであることが,今回の質問紙調査で証明されました。いずれにしても,多くの学生が今までに社会活動に関与し,その種類も非常に多岐に渡ることがわかりました。「未経験」と答えた学生は125名の内わずかに5名で,それは全体の4%に過ぎません。これらの結果から,大学教育にサービス・ラーニングを導入することが,学生の関心や経験に即したものであるということがわかりました。
しかしながら,多くの学生はそれらの社会活動を継続的に行っているわけではありません。また,社会活動を通して何を学んだのかを,しっかりと振り返っているわけでもありません。だからこそ,ここにサービス・ラーニングの理論なり方法なりが必要となるのです。
問2は,特別授業実施後に記入してもらいました。それは,サービス・ラーニングの理論と方法を踏まえて,自らの社会活動を振り返った結果を示しています。次の【表2】は,サービス・ラーニングに関する特別授業を受けて学生自らが学んだと思ったことを,七つに分類したものです。
人間学群及び3学類の教育 | サービス・ラーニングという言葉 | サービス・ラーニングの重要性 | 社会活動の在り方や問題点,課題 | 社会活動への取り組み方 | 地域社会との関係の在り方 | 個人的な考えや在り方 | |
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回答者数 | 6 | 5 | 31 | 31 | 77 | 36 | 30 |
※ 学生の記述を複数回答として処理しているので,実際の回答者数125名に対して,表2の回答者数の合計は216名となっています。
これらの回答の中で注目すべきは,「社会活動の在り方や問題点,課題」と「社会活動への取り組み方」,「地域社会との関係の在り方」と「個人的な考え方や在り方」です。前者の二つは,社会活動の在り方と取り組み方に関することです。今後,われわれはどのように社会活動を展開する必要があるのか,学生は特別授業を通してそのことを学んだようです。一方,後者の二つは,社会活動を通して何を学ぶのかに関することです。社会活動を通して,学生は様々なことを学ぶことができます。その中でも学生は,特に,自らの在り方・生き方を振り返ることができるという点に,社会活動の利点を感じているようです。
サービス・ラーニングで大切にすべきは,このような社会活動を振り返るという視点です。たった1時間の特別授業ですが,学生はその重要性を十分に考えてくれました。サービス・ラーニングの理論と方法が多くの学生に伝わり,多くの学生が共感してくれました。質問紙調査の分析結果から,そのようなことを掴み取ることができます。