教育プロジェクトとしての取り組み(2008年度)

HOMEサービス・ラーニング研修会

サービス・ラーニング研修会

研修会の様子

サービス・ラーニングを進めるのは教員です。プロジェクト2年目の課題の一つは、サービス・ラーニングについてそれを進める教員の理解を深め、意識の向上を図ることでした。プロジェクトでは、この課題を受けて教員を対象にした「研修会」を計画しました。ただ、実施が年度末になりましたので、サービス・ラーニングの試みでもある「人間フィールドワーク」「教育学自由研究」が終わる時期と重なりました。そこで、この「研修会」を「人間フィールドワーク」「教育学自由研究」の「報告会」と一緒にして行うことにしました。学生に1年間の活動の報告をしてもらい、学生と共にサービス・ラーニングについて学び、考える場にしようという算段です。

実施したのは、2009(平成21)年3月10日です。テーマは、「社会で体験することと大学で学ぶこと-」です。 この会では、まず、「サービス・ラーニングを組み立てる」と題して、筑波学院大学OCP推進室社会力コーディネーターの武田直樹氏とOCP学生スタッフの馬場裕氏(同大学4年次生)から、同大学の「オフ・キャンパス・プログラム(以下、OCP)」についてお話を伺いました。


武田直樹氏

OCPでは、「学生の社会力育成」を目標に、つくば市やNPO法人つくば市民活動推進機構と協定を結び、100余りの団体の協力を得ながら学生が地域に出て、社会参加活動を行い、学んでいます。この社会参加活動は、1年次から3年次までの全学共通の必修科目として実施されており、1年次は「体験参加」、2年次は「地域の活動への協働参加」、3年次は「学生自身の主体活動」と体系化され、大学のカリキュラムにプログラムされているところに特徴があります。武田氏はこのプログラムを実施する際の重要なポイントとして、①ステップアップしていく社会参加活動に学生全員を動機づけていくこと、②一緒にプログラムを作り上げ、共に社会力を育んでいるのだという「オーナーシップ」を大学、学生、受け入れ団体が共有すること、③受け入れ団体とWin-Winの関係をつくること、④学内でプログラムのメリットを理解してもらうことなどを指摘されました。


馬場裕氏

馬場氏からは、OCP学生スタッフの活動に関して説明していただくとともに、OCPに対する学生意識調査の結果を報告していただきました。氏は、学生意識調査の結果から、①1年次から3年次へと社会参加活動に対する動機づけが外的なものから自発的なものへと変化しており、そこに学生の成長が見られること、②必修科目であるから社会参加活動をしているという消極的な学生でも、OCPでの活動自体には有意義なものがあると感じている場合が多いことを指摘した上で、社会参加活動に対して学生を動機づけ、その評価を高めるためには、「よいものだからやりなさい」という教員スタッフの教育的態度も重要であると述べられました。

武田さんのパワーポイント資料はこちら

馬場さんのパワーポイント資料はこちら


次に、人間学類・人間学群の学生3名から、「社会体験を通じて学んだことと大学での学習」をテーマに「人間フィールドワーク」「教育学自由研究」のなかで体験した活動について報告してもらいました。3人が体験した活動は、所属するサークルである社会福祉研究会での活動や地域の子育て支援ボランティアが行っている支援活動です。報告は、タイトルの通り、主に活動が大学での学びにどのように関係するかを中心にお願いしました。

倉澤織江(人間学群教育学類2年生)さんは、活動を通じて児童養護施設や子育て支援の必要性がわかり、その現実や課題についての理解も深まった。経験を通じてより関心が持てるようになり、それが卒業研究や進路決定につながっていきそうだと話されました。滝沢千紘(人間学群教育学類2年生)さんは、児童養護施設における子どもたちの置かれた状況などを理解する上で大学の授業が役立ったこと、活動をきっかけに大学での学びをさらに深めたり、広げたりするようになったことを報告されました。溝畑舞(人間学類3年生)さんは、実践した社会体験活動と大学での学びとが直接結びつくことはなかったが、子育て支援活動の現場を観察する中で、外国人親子に対する子育て支援の体制の現状に疑問を感じ、この点を調査してみたいと考えるようになったと報告しました。

最後に、講義と報告を踏まえ、「社会貢献型専門教育をめざすサービス・ラーニング-組み立ての『コア』は何か-」をテーマに、大学、特に本学におけるサービス・ラーニングのあり方を参加者全体で討議しました。討議では、社会力の育成を目標にする筑波学院大学の実践と、専門教育との接続を志向する本学の取組みはどのように接合するのか、ボランティア活動の単位認定が学生にとってどのような意味を持つのか、社会活動、社会体験を大学での学生の学びや学問とどのように結びつけることができるのかなどが議論され、そのなかで、サービス・ラーニングについての学生-教員間、教員-教員間のスタンスの差が浮き彫りにされました。多様なスタンスで受けとめられるサービス・ラーニングを大学としてどのように展開するか――結論を得るというより課題を析出する研修・報告会ではありましたが、今後につながる有意義な会となりました。

倉澤さんのレジュメはこちら

滝沢さんのレジュメはこちら

pagetop