会長の挨拶

障害科学学会就任にあたって

中村満紀男(福山市立大学)

このたび、池田由紀江会長の跡を継いで本学会会長に就任した中村満紀男です。就任にあたって一言、会員の皆様にご挨拶を申し上げます。

本学会の規模は大きくありません。しかし学会である以上、その役割が一般の学会と共通であることはいうまでもありませんが、本学会は他の学会と異なる役割があります。それは、教育機能と同窓会としての機能です。いずれも主に大学院生を念頭に置いています。『障害科学研究』の継続前誌である『心身障害学研究』時代でも査読は厳密に行ってきましたが、『障害科学研究』になってからは査読体制が整備されるとともに、査読は一層きちんと行われるようになりました。しかも、投稿者の多くは大学院生ですので、学術論文の作成能力が備わるように、教育的な観点から査読を行うように努めています(もちろん、査読者はどの投稿論文が院生なのか、そうでないのかの情報は提供されません)。このような論文投稿・査読システムは、一般の全国的な学術誌への投稿の訓練として考えられたものです。

筑波大学以外の会員に対する査読の委嘱は、そのような教育的役割をお願いするものですが、院生がどのような研究を行っているのかについての情報を査読者に提供することにもなっており、後進の育成・就職への助力の要請をも暗に意図しているわけです。会費を低廉にしているということも、院生の立場に配慮しています。ところが残念なことに、肝心の院生が全員加入しているわけではないという現実は、院生の理解不足であるといわざるをえません。

本学会が池田前会長の下で結成されて3年目になり、学系教員の献身によって、学会としての体裁も基盤も整ってきました。しかし課題はいくつもあります。この任期ですべて解決できるとは思いませんが、たとえば海外留学生の学会員加入と査読委嘱を含む研究交流は障害科学系とともに進めたいものです。教員も留学生も長い時間と並々ならぬ労力で学位を取った後、交流が切れてしまうのは、資源の放置にほかなりません。幸いなことに、最近、研究交流の機運が高まってきたように思われます。本学会が、障害科学系や修了生・卒業生をつなぐ機会になることができれば、学会もそれぞれの機関も留学生も、有益ではないでしょうか。