専攻長からのご挨拶

生涯発達とは,家庭から職場・地域社会へ至る空間的広がりと誕生から死に至る時間的広がりの中で問われる多次元的な概念であり,ライフキャリアのさまざまな場面や段階で実現することが期待される包括的な発達概念です。

現在,わが国は少子高齢化や高度情報化,国際化および産業構造の変化などに伴い,職場・家庭・地域においては若年者の不労問題,中高齢者の生活自立支援,老々介護といったライフキャリア形成上の新たな諸課題が発生しています。人々は,これらの問題を通して,従来型の社会システムが破綻し,国民の福祉が阻害されていると認識し始めています。そして,その解決のためには,生涯発達の視点に立ち,教育力,人間形成力等の力を発揮し,社会との連携を強めながら,社会状況の変化に応じた教育力や知的生産力を発揮することが求められています。私たちは,今こそ,これらの諸課題を乗り越え,豊かな未来を切り開くための新たな科学的方法として,生涯発達科学を構築するべきであると考えています。

生涯発達科学の基本的目標は,「ライフキャリア(生命誕生から死までの全人生過程)」,「個人および組織のエンパワーメント(潜在力の開発援助)」,「ポジティビティ(自己成長の自発性と社会的肯定性)」などの鍵概念によって代表される,創造的で開発的なライフキャリア発達科学の構築です。そして,この新しい学問を通して,複雑系社会の中で生きる人々の健全なライフスタイルと健やかな生涯発達を実現するための未来型支援システムを構築する方法論を開発、提供していきたいと考えています。また,本専攻修了者には,ライフキャリアのさまざまな場面や段階において遭遇する様々な課題解決のために,新たな活動の場を自ら創出するパイオニアとして活躍することが期待されています。

生涯発達科学はこれからの学問です。私たちと一緒にこの新しい課題に挑戦してみませんか。意欲ある皆様のアプローチをお待ちしています。

生涯発達科学専攻長 飯島節