生田目 光 臨床心理学 なま た め ひかり 34 つくばの心理学 2023 研究アラカルト 自分の身体を大切にするために みなさんは、InstagramやFacebookなどのSNSをしていますか? Instagramでキレイな写真を見たり、流行をチェックしたり、Facebookで友達の近況を知ったり、連絡を取ったり…SNSは便利なツールですよね。 しかし、便利な一方で悪影響もあります。 最近の研究で、InstagramやFacebookを見ると、キレイな(かっこいい)芸能人や一般人の画像と自分の外見を比べてしまって、自分の外見に対する不満が高まったり、もっとやせなきゃと思ってしまったりすることがわかってきました。 みなさんのなかにも、SNSを見た後で、もっとやせないと…と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。実はこれ、危険信号かもしれません!これらの問題は、学術的には、ボディイメージの問題と言われています。ボディイメージの問題がひどくなると、摂食障害を発症することもあります。 摂食障害とは 摂食障害は、拒食や過食・嘔吐などの食行動異常がみられる病気ですが、その背景には、ボディイメージの問題があります。 たとえば、実際には太っていないのに太っていると思い込んでしまうといったボディイメージの問題があると、「やせたい」という気持ちが強くなりやすいです。その結果、食べる量を極端に減らし、そのせいで極度の空腹状態になり、反動でむちゃ食いをしてしまい、むちゃ食いを無かったことにして太らないようにするために吐いて、再び食べる量を制限して…といった悪循環に陥ってしまいます。 つまり、ボディイメージの問題と食行動の問題は密接にかかわっていて、太っていないのに太っていると思い込んだり、極端にやせた体型を目指すといったボディイメージの問題がなければ、拒食や過食・嘔吐などの食行動の問題も起こらないことが多いです。 ネガティブボディイメージと ポジティブボディイメージ 上記のような背景もあり、これまでのボディイメージ研究では、体型認識のゆがみややせ願望に代表されるネガティブボディイメージを低減することで、摂食障害を予防しようとする試みがほとんどでした。
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