つくばの心理学 2021
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研究アラカルト 27大学一年生を振り返る 思い返すと、私が大学に入学したとき、芸術学がやりたくて文学部へ入りました(専攻は2年次に決まるところでした)。当時、映画好きが嵩じて、映画監督になりたい、そして芸術学がやりたいと思っていたからです。部活は体育会系の剣道部に入りました(伝統的ルールにより、大学生なのに学ランを着ていました)。何故なら、小学生から続けていたもので、私に多くの成功体験をもたらしてくれたからです。大学の授業には大きな期待を抱き、関連する書籍を事前に読んでから臨み、より詳しく知るにはどうすれば良いか、授業後に質問をしてました。授業内容がつまらない、と思った際には直接抗議をしました。抗議をしても変化が無かった際に、抗議のサインとして大講義室の最前列にミッキーの耳をつけて私語をしていたら、単位を没収されたこともありました(褒められたことではないですね…)。映画への興味から、アーティスティックな塗装をしている会社へ見習いとして入ったのも大学1年でした。3夜連続不眠不休で日雇いのアルバイトをしたり、ダイニングバーでアルバイトしてお金を貯め、フランス一人旅をして美術館巡りをしたのも大学1年生でした。 心理学との出会い しかし、その中でも、現在の私(心理学の研究者)を方向づけたのは、選択科目として履修した、心理学の授業でした。その授業では、自閉スペクトラム症という発達障害についての少人数授業で、国際的に最先端の研究を紹介されたり、行動変容に関する実験を実際に受けてみたり、催眠についての実習ビデオを見せられたり、と知的好奇心がとても刺激される内容だったのです!今思えば、私の専門分野である、「応用行動分析」という学問領域、の入門授業だったわけなのですが、現実に存在する人間行動を変えてナンボ!という、その異質さに、当時から真っ直ぐな私のハートは鷲掴みにされてしまったのです。その授業担当の先生は、他の様々な先生に嫌がられた授業後の私の質問に全力で答え、数万円する英語の文献を購入して勉強するよう、挑戦心を研究アラカルト 人生100年時代に大学4年間を過ごすだろうあなたへ 松田壮一郎 行動デザイン、応用行動分析学、発達心理学、自閉スペクトラム症 まつ だ そう いち ろう

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