研究アラカルト 29 ここに「私のこだわりの一品」として示したのは、私の研究室のロゴマークです。左端のセロファンに包まれたキャンディーが2つ繋がったようなものは、2重鎖のDNA(遺伝子)を表しています。大きな丸には、6角形がくい込んでチューリップ型に切ったゆで卵みたいになっていますが、これは、ホルモン(6角形の方)とその受容体(ギザギザになった丸)を表しています。そして、最後に2匹のネズミ(といってもこれは、ドブネズミではなく、ミッキーと同類の“マウス”です!)が仲良く鼻をつきあわせています。これらはすべて、私が大学生の頃から今に至るまで、ずっと興味を持って進めている研究を象徴するものであり、私はこのロゴマーク(私の研究室のデサインが大好きで才能豊かな大学院生が作ってくれました)、結構気に入っています。ただ、これらのどれをとってみても、皆さんの多くが「心理学」について抱いているイメージとは、かなりかけ離れているかと思います。そこで、私が今まで通ってきた道を振り返りながら、そのあたりのことについて簡単にお話したいと思います。 私は、今年第1期生が入学した人間学群心理学類の前身である、第2学群人間学類の第1期生として筑波大学に入学しました。タイトルにあるように、そのころ筑波大学があるあたりは、桜村と呼ばれていました。その桜村での毎週月曜日の最初の講義は「実験心理学」でしたが、ここで私は、「ネズミの行動研究」に初めて出会いました。これは、私にとって、これだ!と即座にその後の道を決めてしまったほどの衝撃的なものでした。その後、思い通りマウスを使った母親攻撃行動のテーマで卒業論文を書き、さらに研究を進めるべく大学院に入学しました。そのころから次第に自分の知りたいことを突き詰めるには、「心理学」の枠組みの中だけでもがいていてもどうにもならないと苛立ち始めていました。たとえば、雌マウスが母親になると周りの雄を激しく攻撃するようになるのだけれども、いったい彼女のなかで何がどう変わったのだろう研究アラカルト 桜村-Storrs-Manhattan-つくば市 小川園子 行動神経内分泌学・行動神経科学 お がわ その こ
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