つくばの心理学 2021
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つくばの心理学 2021 58 の動きをわかってはいない」〜現代心理学の中心教義を学びましょう。 『思考と言語(新約版)』L.S.ヴィゴツキー(著)柴田義松(訳)新読書社 2001年 ☆1930年代に活躍したロシアの心理学者による古典。日英独仏西葡中韓蘭のほか北欧の諸言語に翻訳されて世界中で読まれている本。その影響は、教育・ 発達心理学ばかりでなく、コミュニティー心理学や、職業心理学、組織心理学等にもおよんでいます。 『思春期学』長谷川寿一(監修)東京大学出版会 2015年 ☆若い人たちについての心理学には「青年心理学」が昔からあります。この本は、既存の青年心理学に飽き足らない研究者たちが、かなり本気で思春期(この本では10~20歳の人たち)に取り組んだ記念碑的な一冊です。進化学、脳科学、精神病理学の研究からとらえた思春期に興味がある人は、一度手に取ってみてください。 『実験心理学の新しいかたち』廣中直行(編)誠信書房 2004年 ☆実験心理学の中でも、生理心理学、学習・動機づけ心理学の最近の新しい展開が解説されています。このような分野も心理学が盛んに取り組んでいるテーマなので、脳科学・神経科学に興味のある人は、読んでみてください。 『「社会調査」のウソ-リサーチ・リテラシーのすすめ』谷岡一郎(著)文春新書 2000年 ☆調査や実験で得られたデータをきちんと検討する目を養うことができそうです。 『「社会脳-人生のカギをにぎるもの』岡田尊司(著)PHP新書 2007年 ☆心理学の大きなテーマのひとつである<社会性>を、脳のメカニズムから解説する好著です。ソーシャル・ニューロサイエンスは最先端のテーマです。 『終点のあの子』柚木麻子(著)文春文庫 2012年 ☆女子高校生の入学から始まり、一部の主人公の物語は、大学卒業まで続きます。主人公朱里の成長の物語が、朱里の友人関係や恋愛関係、進路選択と共に綴られています。朱里に対しては好き嫌いが分かれそうです。4つの短編から構成されており、朱里以外の主人公たちも魅力的です。保田と恭子さんの夏が続いてほしいと願った人も多いでしょうね。

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