III 本稿の構成

 ここで本稿の構成について述べておきたい。まず第1節でアメリカの貧困状況と教育に関しての問題意識を明らかにしたい。連邦の権限が制限される中でも、国家の目標であり、また、教育権の保障という観点から行われてきた"Disadvantaged Children"を対象にした教育政策の考察を通して、社会的貧富の格差や人種間の教育格差縮小への示唆を得ることを目的としたい。
 次に具体的な研究テーマの設定を第2節で行う。この研究では1965年から行われてきた就学前教育プログラムであるヘッドスタートと、2001年の"No Child Left Behind"法によって始められた早期介入プログラムであるリーディングファーストを比較することにする。その理由として、1965年代から続けられてきた早期介入プログラムであるヘッドスタートに加えて、リーディングファーストという一見重複すると考えられるプログラムを開始した背景を探ることで、二つのプログラムの役割の違いを明らかにすることができると考えたからである。
 第3節では本稿の構成について述べる。  第4節では先行研究の検討を通して、ヘッドスタート計画とリーディングファーストプログラムについて整理する。
 そして第5節において、先行研究を踏まえて、リーディングファーストプログラムがヘッドスタート計画と同時進行するようになった背景を考察したい。最後に第6節で二つの政策に見られる不利益を被った子供たち"Disadvantaged Children"の教育的介入において重要であると考えられるポイントを記述する。

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