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日本ではキャリア教育の歴史が浅く、取り組むべき課題が山積しています。同時に、新しい学習指導要領はその総則において小学校からの継続的・体系的なキャリア教育の実施を明示的に求めていますし、すでに「キャリア・パスポート」の運用も始まっています。さらに、民法が改正され、この4月1日から成年年齢が20歳から18歳に変わりました。成年に達すると、親の同意がなくても自分で契約ができるようになりますし、親権に服さなくなるため進学や就職などの進路なども自分の意思で決定できるようになります。キャリア教育にとって成年年齢引下げが極めて重要な意味を持つことは言うまでもありません。この他にも、育児・介護休業法の改正により男性の育児休業が取りやすくなる条件整備が更に進み、労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が中小企業も含めて全面施行されるなど、キャリア教育を実践する上でアップデートを図るべき事柄が数多くあります。キャリア教育の更なる充実は「待ったなし」の状態に移行したと言えるでしょう。
無論、学校教育を支える先生方の勤務時間が他の国々と比べて突出して長いことなどを踏まえ、学校での負担過剰を避ける方途を模索することもキャリア教育の推進上不可欠となっています。
このような中にあって、学校で日々奮闘なさっている先生方や、教育行政の現場で「縁の下の力持ち」の重責を果たしていらっしゃる皆様が、家庭や地域社会の方々と必要な連携を図りつつ、笑顔でキャリア教育に取り組んでいただけるようになること。そして、一人一人の子どもや若者が、不透明で混沌とした社会にたじろぐことなく参画し、より良い未来を構築するための力を身につけることができるようになること。これが私たちキャリア教育学研究室の願いです。
この願いの実現に少しでも近づけるよう、私たちは、国内外の関連理論・制度・実践を幅広く分析対象としながら研究活動をすすめています。今年度は、博士後期課程の院生11名、前期課程の院生3名がそれぞれ設定した研究テーマに基づいて頑張っているところです。毎週、月曜日の夕方に開催している研究会には、この他にも、人間総合科学学術院教育学学位プログラムの院生や人間学群の学生などを含め20名ほどが参加しています。
筑波大学の教育学関連分野において、独立した専門研究領域としてキャリア教育学が認められたのは2015年度のことです。人間の発達になぞらえれば満7歳。小学校2年生です! いろんなことに自分で挑戦しようとしたり、自ら進んで友達を作ったりする時期ですし、永久歯への生え替わりもこの頃の身体的特徴として知られています。幼児期を引きずっていた去年までとは一線を画す成長ぶりが見られるのが2年生ですね。私たちキャリア教育学研究室も、そのような成長が遂げられるよう研鑽を重ねて参りたいと存じます。関心のある方は是非お問い合わせ下さい。お待ちしています!
一昨年度から、新型コロナウイルスの感染拡大抑止のための試行錯誤が続いています。ウイルスとの共存の方途も見え始めているものの、「あの時は大変だったねぇ」と一息ついて振り返ることができるようになるまでにはもう少しかかりそうです。一日も早くその日が来ることを願いつつ、乗り越えていきましょう。
(2022年4月10日)