筑波大学 人間系 山中克夫研究室

高齢者介護や医療に貢献出来るような心理学研究を目指した研究室です。
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プロフィール

山中克夫


山中克夫(やまなか・かつお)

筑波大学人間系(障害科学域)准教授。 公認心理師。臨床心理士。
1995年に筑波大学で博士(学術)を取得後、同大学助手などを経て2012年より現職。大学では障害科学類(主に社会福祉士のカリキュラム担当)、大学院では人間総合科学学術院人間総合科学研究群ニューロサイエンス学位プログラム(障害・臨床分野)の教育を担当している。

専門は老年臨床心理学であり、認知症という神経障害と共に生きる人やその周囲で関わる人を心理・社会的に支援するための技法を主要テーマとして研究・実践を行っている。より具体的に言うと、老年期の臨床・実践で活用できる心理尺度や、認知症ケアのための心理・社会的介入法および相談・支援システムの開発を行っている。また、認知症の人の生活上の制限や社会的制約を他人事ではなく我が事に置き換え、住民が皆で助け合えるような仕組みやリソースを構築していきたいという思いから、大学のあるつくば市の地域支援事業等に関する委員会にも参加している。

それらの研究や実践では、認知症の本人にとって認知機能の低下や行動の制御に悪影響を与える神経学的な障害(器質的・生物的視点)、本人の活動に影響を及ぼす社会的な文脈(社会的視点)、そのような神経学的な障害や社会的文脈により形成される本人の自己(心理的視点)の3つの着眼点を大切にしている。また、障害観としてWHOの国際生活機能分類の「活動への参加制限」や「社会的参加の制約」を重視している。誰でも加齢や大なり小なりの事故や病気によって「制限」や「制約」を少なからず体験する。そのような体験をもとに「障害」をより身近なものととらえ、「制限」や「制約」を少なくする、あるいは「制限」や「制約」がありながらも生きた甲斐を感じてもらえるような支援を共に考えられる人間の育成と社会の構築を研究室の理想としている。

共同研究も含めこれまでの研究の産物としては、認知機能上のつまずきや逆に強みをみつけ支援の糸口を探すための尺度である成人知能検査WAIS-IV日本版、認知症の人の生活の質に関する国際的尺度であるDEMQOL日本版、認知症の知識の国際的尺度であるADKS日本版、軽度・中等度の認知症の人の認知機能を改善・維持し楽しい活動を通じ生活の質を向上させることを目的とした認知活性化療法(CST)日本版、応用行動分析学に基づく認知症の行動・心理症状(BPSD)の対応に関する職員研修の初級マニュアル、意思決定モデルに基づきBPSDの対応方法を探す・学ぶ「認知症対応方法発見チャート」(認知症ちえのわnetのHP内)、「行動支援システム、行動分析装置、および行動分析プログラム」(取得特許)などがある。

また、これまでの研究の関連著書として、『日本版WAIS‐IIIの解釈事例と臨床研究』(日本文化科学社)、『認知症の人のための認知活性化療法マニュアル: エビデンスのある楽しい活動プログラム』(中央法規出版)、『よくわかる!  行動分析による認知症ケア』(中央法規出版)等がある。

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