この授業を始めるにあたってと・授業の進め方




はじめに

 平成6年9月〜11月,私たちの大学で言う第2学期に,私は1単位授業「身体障害者福祉論」を行いました。この授業はこの年度に初めて開講された授業だったので,どのように進めていくかは全く未定でした。さらに私もこの大学で授業を行うようになって初めての大型授業。初めての教室。どれもこれもが初めての経験でした。

 たった10回強の授業の中でいったい,身体障害者福祉なるものの何を話せばいいのか。他の授業との連携をどう考えればいいのか。わからない中で授業構成を考えました。いわゆる概論的な授業をしようかとも考えましたが,大して面白くもあるまいとの思いもありました。もちろん,この授業の設置目的と役割を考えれば,いろんな学類(学部)の学生に身体障害児者の福祉に必要な考え方と知識をひととおり紹介した方がいいわけです。でも私は,知識を手土産に持って帰ってもらうよりは,せめて授業の時間内だけでもこの分野のことについて考えて欲しいとも思ったのです。そこで当初は,前半で知識的な紹介をし後半でトピックスに触れる構成にしてはどうかと考え,授業に臨みました。

 結果は学生とのやり取りの記録を読んでいただければいいのですが,この予定はすぐに捨てることになりました。中途半端な時間の使い方になるとの指摘を受けたからです。その他にも,学生からの感想や反応を受けていろいろ変えていきながら授業は進められました。実に授業者の主体性の無い,優柔不断な授業態度であるとのお叱りを受けるかもしれません。しかし,とりあえず私はこの授業が商品であり学生はその消費者であるとの立場からやってみようと思ったのです。商品提供者が消費者のニーズに応じて商品を改善するのは普通のことです。ただし,消費者に迎合することは結局商品の質を落とします。だからそれなりに消費者側にも緊張感を持った批判をして欲しいとは思うのですけどね。それは言わば授業者と学生との間の「仁義」の様なものではないかと考えるのです。

 おっと脱線しました。中身に入りましょう。


進め方


 よくある方法ですが,授業の終わりに全員に意見あるいは質問を書いてもらいます。授業者はこれを読んで整理し,代表的な意見あるいは質問について回答(正答ではありません,単なる私の返答です)を記してプリントにまとめます。複数の意見が提出された場合には,それらを並記します。
 このプリントは次の授業時間の始めに全員に配られます。授業者はプリントの内容について若干の補足説明を加えてからその日の授業を行います。授業終了前に再び学生は意見・質問を書きますが,内容はその日の授業についてでも良いし,プリントの内容について更にコメントを加えても構いません。

 このようにして,授業者たる私と受講者たる学生との間で交換されたプリントが,以下に掲載した質疑応答集です。なお,この掲載内容については事前に受講者の了承を得てあります。しかし内容から判断して一部掲載を見あわせた部分もあります。



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