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質問・意見に対する回答(第1回分)


手帳

A 手帳の中身はどうなっているのでしょうか?

その人がどのように認定されているか記載されています。何の障害か。それと等級などが書かれてあります。1種1級など。1種2種というのは,旧国鉄時代の利用割引に関わる区別を表すものだったと思います。その他には関連情報などが載っている。でもそういえばマジマジと見たことはないのです。間違ってたらどうしよう。

B 手帳制度について,手帳があれば行政上のサービスが受けられる,というが,果たして,そのサービスというものが,どの程度障害者個人のニーズに対応できているのか疑問に思った。

C 障害者手帳をもっている人を障害者としてみなす方法にはいろんな問題がありますが,では,どういうのが望ましいあり方なのですか?もう少し諸外国のことを詳しく教えて下さい。

詳しくは私もわかりません。授業でお話をした程度です。手帳制度も長短あるのでしょうが,必要な人が適切なサービスを受けられるようになって欲しいと思います。

障害の定義

A 「障害」といっても,その捉え方は,いろいろと変わってきているのだということが分かりました。ICIDH-2で背景因子として環境が含まれているのは,「なるほど」と思いました。確かに障害というのは個人的な要因だけではなく,環境的な要因によっても左右されるものだと思います。

B 足に障害のある人の話の時,訓練をして歩けるようになろうという考えを,車椅子で生活を楽しもうという発想に変えれば,それはそれでいいのだ,ということにオドロいた。訓練して歩けるようになれるならその方がいい,と決めつけてしまいがちなのは健常者のエゴかもしれないと思った。ドラマとかも,そういう健常者の発想でつくられている気がする。

C 障害は環境でいかようにも変わりうるという言葉が今日の講義で一番印象に残りました。

さらに,障害とは社会との交互作用の中で初めて構成されるものであるという考え方も行われるようになっています。こうなると個人の状態がどうであるかということだけが重要な問題ではなくなりますね。こういった考え方を「障害の社会モデル(social model of disability)」というのだそうですが,またテーマを改めまして話題にしたいと思います(後半で)。

D 日本と世界の障害者に関する定義に違いがあることに驚いた。また,私は電車やバスに乗るとき,“障害者割引”という制度があるのは,少し違和感がある。それは,障害があるということが健常者にとって,マイナスな要因で,値段も引く必要があるというように考えていると思うし,障害者の人も,こんな風に認められることが本当に良いことなのだろうか,と思う。

何で割引くのか,については中村君もちょっと触れているように,過去の授業の質疑応答録にも若干掲載されているようです(おいおい)。また困ったことに,あまりまとまった議論は聞かれないようにも思います。

。 身体障害者福祉法による障害の定義(別表5のこと)

A 身体障害者福祉法の中でHIVが含まれているということに驚きました。実際どんな処置が行われているかなど,詳しい話を聞きたいです。

B 火曜日にやっているドラマのあの女の子も来週あたりには手帳をもらうことができるのでしょう。けれども,絶対にドラマの中で描かれていることはないでしょう。もっと,社会にアピールすればいいのに,と思うのでした。

C HIV患者について福祉の対象となったのは,いいことだと思いますが(潜ぷく期間が長く,大変なため)発病してからは普通の病気と同じだと思います。HIVだけ福祉の対象となるのは不公平な気がするのですが。

さて,私はあの番組を見ていないのですが,この答えはどうでしたか? 教えてください。ちなみに,あの番組の影響でHIV検査希望者が激増したそうです。月ごとのグラフでずいぶんな変化だとのこと。新聞資料でありました。

D 身体障害者福祉法以外にも,身体障害者について定義した法律は,たくさんあるのですか?だとしたら,各法律によって,どのくらい定義が異なっているのかなあ,と思いました。

教育分野での規定,労働分野での規定,などいろいろあります。また年金受給資格などは身体障害者福祉法に従って定められていますが,そのように準拠する元としても用いられているようです。

E 身体障害者福祉法で決められていた級についてですが,聴覚が2級からということですが,視覚のほうでは両方の和が0.02から0.04の間が2級に相当します。客観的に見て,同じ2級でも,視覚障害のほうが,耳が普通に聞こえて,プラス,目も少し見える,ということで,障害として聴覚障害よりも軽いものと思われます。こういった法律を議論したのは障害のある人たちなのか,それとも健常者が障害というものを理屈としてわかっているだけで議論したものなのかを教えて下さい。障害一つをとっても,その障害を持っている障害者の中でも意見が多数に分かれてしまう主観的なものが入りやすいと思うので,かなりあいまいなものになってしまうと思います。その議論の客観的な方法について教えて下さい。

制定過程については議事録など見るか,あるいは当時の関連文献などから知るしかないと思います。しかし恐らくは当事者が関与して決めたわけではなく,いわゆる専門家が決めたものでしょう。それから議論の客観的な方法,ということですが,やはり impairment/disability レベルで計測可能な設定の仕方をしていると考えるのが良いのではないでしょうか? 何らかの実務的に線引きをする必要性から制定されたのであると考えれば,一定基準で測れるかどうか?が重要になってしまうのだと思います(少なくとも今まではそうであったということ)。実際にはこれらを用いて認定医が書類を作成するわけですが。ちなみに認定基準が詳しく具体的に記載されている本などもあります。辞書みたいに大きい。

「 差別の問題?

A 定義や制度,法などが基本で大事なことはわかりますが,例えば,差別の問題などのリアルな部分についても学習したいです。

適当に挿入することになるでしょう。

B 「障害者」にとって私達が行う援助は(手助けは),その人を“差別”していることになるのでしょうか。

ならないと思います。詳しい話を伺わないと,それ以上どのように答えるべきかはわからないのですが。もし良ければ,また話を聞かせてください。


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