平成10年度シラバス

身体障害者福祉論( )

(Social Welfare for People with Physical Disabilities)

授業時間:2学期,金曜日,第4時限
単位数 :1単位
履修年次:2〜4年
担当教官:名川 勝
研究室 :人間系学系棟B206 tel 53-4728
office huors:月・木6限,金1限


授業概要:身体障害者福祉を中心として基本資料および福祉制度を概説する。また自立生活運動,家族支援などのトピックスを紹介しながら近年のサービス提供・利用に関する動向に触れる。受講者は毎時の感想・質問文を提出し,講義者が次回に答える作業を毎回行う。これらを含めた意見交換を通じて理解を深めることを重視する。昨年度までの質疑応答の様子は以下のURLにて公開している。
<< http://www.human.tsukuba.ac.jp/~mnagawa/lecture/swpd/ >>

評価方法:出席およびレポート(毎時の感想・質問文の内容は評価対象としない)

参考書 : テクノエイド協会『体の不自由な人びとの福祉』(中央法規出版)
      石渡和実『Q&A障害者問題の基礎知識』(明石書店)
      他,授業にて紹介



授業計画:
1.用語の定義と対象の範囲
本講義で対象とされる「身体障害」の定義を確認し,範囲とするところを関連法制などから示す。また講義内容を概観する。けがは障害か。病気は,高齢は。

2.自立生活運動
実例を挙げながら,自立の意味,自立生活の歴史と現状について紹介する。自立に必要なのは身辺処理か,金か。

3.介助論・ボランティア論
介助者と被介助者との間で生じるさまざな関係から話を始め,ボランティア論にも触れていく。介助は善意でやるものか。

4.施設福祉と地域福祉
施設福祉と地域福祉それぞれの分野で提供されるサービスや各種制度について整理し,現状と課題について示す。施設はいずれ無くなるのか。

5.家族支援・生活支援
利用者主体のサービス,消費者としての利用者などの話題を紹介し,家族支援などを例にとりながら,どのように展開されているか(いないか)を述べる。福祉は与えられるものか。

6.障害者文化と障害学
対等な異文化としての障害(者)文化の議論を紹介し,意義と課題について述べる。他者とはわかりあえるか。
また社会学的な視点から障害を捉え直す論としての障害学(disability studies)についても示す。

7.assistive technology,AAC,ユニバーサルデザイン
周囲・環境を変化させることによって本人の可能性を広げる方法論としてのassistive technology,AAC(argmentative and alternative communication)を紹介する。またそこから機器や公共施設などの環境の在り方についても拡げる。シャンプーボトルのぎざぎざは誰のためか。

8.就労・労働
働く場や支援方法の種類や現状を示し,各種制度などについても紹介する。また意義や課題についても言及する。企業の障害者雇用義務はあるか。

9.補
触れられなかった話題など。



 いろいろ考えたのですが,平成9年度とだいたい同じ構成で行きます。ただし9年度にもらった感想など,それからレポートに書いてもらった改善案なども参考にして,やり方を多少変えていくつもりです。
 まず質疑・応答のやりとりは,代表的な内容に絞って印刷配布することとします。これは準備時間を短縮させると同時に,授業時間内に受講者が読む手間を少なくするためです。やり取り自体は無くさないつもり。
 それから,どこかでバズセッションのような方法による話し合いの時間がとれないかどうか,画策してみます。この授業は私が話すことをある程度やらないとどうしようもない側面は持っていると思います。何も知識伝達をしないでディスカッションしてもらっても面白くないテーマだったりもするでしょう? だから,すべての時間に話し合いを入れるのは難しい。でも1〜2のテーマではやれるかもしれないので,そこを検討してみるつもり。必ず組み入れることを保証しているのではないので注意。



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