3.No Child Left Behind法制定後の州による英才教育制度の動き

そもそも、アメリカ政府は英才教育制度の実施を指示していない。政府からの援助は 研究と州の補助金として年に11,200,000ドルにとどまっている。しかし、半数以上の州は、学 校区に対して英才教育制度の実施を命じている。ほとんどの州では英才教育制度のための 十分な資金を提供できていないが、多くの学校区で英才教育制度を設置している。すなわ ち、英才教育制度を積極的に取り組んでいたのは、州や学校区であり、 それは連邦からの指導に基づくものではなかったのである。

ところが、No Child Left Behind法の成立を受け、こうした状況に変化が生じている。 No Child Left Behind法を遵守するために、今まで英才教育制度に使われていた予算、 人材などの資源が、社会経済的に不利な子どもたちの教育に充てられるようになった。

多くの州では英才教育制度への資金を削減している。例えば、イリノイ州では、2003年 に英才教育制度のための州の資金19,000,000ドルを削除した。カリフォルニア州では、 10,000,000ドル(19%)削減されたが、これは他の教育プログラムと比べて大幅な減少で ある。また、コネティカット州では英才教育制度への州資金は提供されていなかったが、 2002年に22%の学校区が、独自の資金で行っていたプログラムを削減したり、廃止した(1)


(1)データは、Daniel Golden 2003 Initiative to Leave No Child Left Behind Leaves Our Gifted, Dow Jones WebReprint Serviceによる。

第2章 マサチューセッツ州の事例

1.マサチューセッツ州を選択した理由

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