序章 本レポートの目的

 学校教育における教員の役割は大きく、教員の職能成長を絶えずはかる ことは不可欠である。日本ではそのために様々な政策がとられてきたが、それ によってすべての教員が高い資質能力を保持し、向上させることが十分可能と なっているとは言いがたい。

 日本が教員の職能成長のために、今後どのような政策をとるべきなのか、 そのヒントを海外の取組みから得ることは意義のあることであると考える。

 アメリカ合衆国は、原則として教員は高等教育によって養成されること、 免許状主義をとっていること、現職教育に高い関心があることなどにおいて日本 と共通している。アメリカ合衆国では、現在、2002年に制定された初等・中 等教育法改正法である「No Child Left Behind」(以下、「NCLB法」とする)に基づいて 教育改革が進められている。教員の職能生長についてはタイトルIIにおいて記述されている。

 そこで本研究では、NCLB法にいたるまでのアメリカ合衆国における教員の 職能成長の動向を整理し、NCLBにもとづく具体的な取組みをみることによって、 NCLB法の政策の持つ意義を明らかにすることを目的とする。また、本研究におい ては、教員の職能成長のための取組みのなかでも現職教育を中心にみていくこととする。


(1)"Charter School Laws Across the States:Ranking and Scorecard 8th Edition" The Center for Education Reform 2004による
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