1、はじめに

 近年、わが国では教員の資質能力の向上を目指し、様々な改革がなされている。2006年12月に改訂された教育基本法にも、新たに第九条として教員の条が設けられ、教員が改めてその使命を自覚し、資質向上を図る必要があることを明確にしている。また、2007年6月の教育改革関連三法の改正で、教育職員免許法及び教育公務特例法が一部改正され、2009年度4月から教員免許更新制が本格的に実施されることになった。中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度のあり方について」でも、教員の養成、採用、現職研修等の各段階における改革を総合的に進めることの必要性が示されている。具体的には教職課程の質的水準の向上、教職大学院制度の創設、教員免許更新制の導入という3つの方策が示されている。

 一方、アメリカの教育改革においても、教員の資質能力の向上が重要な課題の一つとしてあげられている。2001年のNCLB法にも、質の高い教員の養成、研修、採用を目標としてあげられている。教員の資質が子ども達の学力向上に最も重要な要素だとし、深刻な問題となっている学力格差の解消において教師の資質能力の向上が不可欠であるとしている。

 アメリカの教員免許制度の特性から、日本における教員の資質能力の向上と背景が異なるであろう。どのような背景から教員の資質能力向上の必要性が言われ、どのような問題が存在しているのか検討していきたい。

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2、アメリカの教育制度と改革の流れ