4.終わりに



 アメリカ合衆国での教育における人種差別問題に関わる政策を概観し、一つの事例として ミシシッピ州を取り上げたが、その問題が根深く存在していることを感じた。ミシシッピ州 では人種差別の問題に関する取り組みが積極的に行われていることを予想していたが、実態 を見てみると、その取り組みは困難を極めていることがわかる。それは学校において人種差 別撤廃のための教育を行う以前の問題であり、学校自体が人種によって分断されているとい う事実が存在していることからも明白である。

 学校における人種差別をなくす以前に、それを取り囲む地域に住む人々、特に子どもの通 う学校を選択するであろう保護者の意識を変え、地域全体で学校を改善していこうとしない ことには、この悪循環は断ち切ることができないのではないだろうか。



引用・参考文献

葉山明『アメリカ民主主義と黒人問題−人種隔離教育をめぐって−』東海大学出版会、1994
今村令子『永遠の「双子の目標」−多文化共生の社会と教育』東信堂、1990
J.E.クーンズ・S.D.シュガーマン『学校の選択』玉川大学出版部、1998
『最新教育キーワード137』時事通信社、1999
安田美世「School Resegregation の経過について-90年代における裁判所決定を中心に-」2003年教育制度論演習最終レポート集
(http://ningen.human.tsukuba.ac.jp/~tfujita/seminar_03/)
Weiler Jeanne "Recent Changes in School Desegregation" ERIC/CUE Digest Number133, 1998
"Racial and Ethnic Tensions in American Communities: Poverty, Inequality, and Discrimination. Volume VII: The Mississippi Delta Report" , Commission on Civil Rights, Washington, DC. , 2002, pp37-51




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