1.研究の目的



 奴隷制度という歴史的な背景を抱え、長年にわたって人種差別という問題に向き合ってきた アメリカ合衆国は、学校教育においては、どのような政策によってその問題の解決を図ろうと してきたのだろうか。また、様々な取り組みがあるにもかかわらず人種差別が依然として存在 する場合、そこではどのような問題が生じているのかということを明らかにしたい。

 まず、連邦政府レベルの人種差別撤廃に向けた教育政策の動向についてまとめる。人種隔離 教育の始まりからブラウン判決以降の裁判所決定を中心とした動き、そして1990年代における 方針の転換について述べる。次に、州政府レベルの動きとしてミシシッピ州の学校における人 種問題を取り扱った報告書から、近年の教育における人種差別問題の実態を見ていきたい。




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