考察

 今回の調査では、アリゾナ州が「強い」チャーター・スクール法によって、 チャーター・スクールの設置を積極的に奨励していること、そして そのチャータースクール設置に寛容な故に設置後の監督が行き届かず、チャータースクールをめぐる 不祥事や経営難が起りやすいという批評があることが明らかとなった。しかし、 内部評価を見てみると、チャータースクールに関わる生徒・保護者・教師の多くが、 チャータースクールに満足しているということが明らかとなった。 このことから推測されることは、経営不振のチャータースクールはごく一部であり、 チャータースクールを上手に選択すれば、子どもにとってチャーター・スクールは 従来の伝統的な公立学校よりも有益な学習環境になるということである。 そのためには、生徒や保護者が各チャータースクールの詳細で正確な情報を収集できるようになることが求められる。 こうして「悪い」チャータースクールは淘汰され、「良い」チャータースクールが安定して存続していくことになるだろう。

 また、チャータースクールにおける学業達成度に関しては、一般の公立学校のそれとほとんど変わらないことも明らかになった。 チャータースクールの重要な目的は、生徒の学業達成度を上げることであるため、 一般の公立学校と成果が変わらないということは、チャータースクールの存在意義が問われることにもなる。 しかし、生徒によるチャータースクール評価でもあったように、チャータースクールに通う生徒の多くは、 一般の公立学校では学習成果を上げられなかった生徒たちや、伝統的な学校の環境に満足していなかった生徒たちである。 これらの生徒がチャータースクール入学後、その環境や学習に満足しているという事実は、 チャータースクールの成果として注目されるべきである。伝統的な公立学校に合わない生徒たちに、 別の学習機会を与えるという意味では、チャータースクールの存在意義があるとも解釈できるだろう。

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