チャータースクールにおけるアカウンタビリティーの在り方に関する考察

4年 福永鉄平

序章:本レポートの目的

 1991年アメリカはミネソタ州において、全米でも最初のチャータースクール法が制定された。以来、チャータースクールはその数を増し、2004度までに全米40の州で2996ものチャータースクールが設立されている(1)
 チャータースクールとはチャーター=特別認可、許可、との訳の通り、任意の団体が特別認可を基に設立した独自の学校のことである。つまり人々は、自らの信念・理念を基に、あるいは自らの教育ニーズに適した学校を、自らの手によって作ることが可能となったのである。「競争・選択」の原理を孕んだその新しい公立学校の制度は、教育界に市場原理を導入し、学校や教師間の競争によって更なる教育の質の向上を図ったものである。

 前述の通り、十年少しという期間で多くのチャータースクールが設立されるに至ったわけであるが、ミネソタという一つの州に始まった、州レベルで展開するこの草の根的要素の強い改革運動が、なぜ連邦レベルで広がって行ったのか。大統領は民主党のクリントンから共和党のブッシュに変わったが、両党のチャータースクールに対する支持・支援の姿勢には変化なく、むしろチャータースクールーの増設を後押ししたのはなぜであったのか。そこにはやはり、チャータースクールーに、公教育制度改革の大きな可能性が見出せたからといえるだろう。

 しかしアメリカでは各州が教育に関して強い独立権を持っているのだが、各州に次々に広まって行き州ごとに独自の制度が設けられたチャータースクールーといえども、連邦の規制から外れて全く自由にやってよい、というものではない。

 チャータースクールのあり方を方向付ける連邦の法律とは、No Child Left Behind Act of 2001(以下NCLB法)である。NCLB法の根幹にある考えとして、@Accountability、AFlexibility,BLocal controlCGreater choices for parents、の4点がある。特にその中でも@のAccountabilityの概念は、各学校の自由裁量の部分を増やすと共に、結果責任を伴う必要性があることを目指すものである。それ故にNCLB法の下では、チャータースクールと言えども一定の結果を出すことが求められるだろう。

 本レポートでは、NCLB法がチャータースクールをどのように規定しているのか、またチャータースクールにおけるアカウンタビリティがどのようなものであるのか、明らかにする。更にチャータースクール制度におけるアカウンタビリティのあり方について考察する。



(1)"Charter School Laws Across the States:Ranking and Scorecard 8th Edition"The Center For Education Reform 2004(http://www.edreform.com/_upload/charter_school_laws.pdf 2005年2月27日)
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