教育制度論演習のサイトへようこそ。このサイトには、当該演習を履修した学生による最終レポートを掲載しております。
はじめに教育制度論演習の概要を紹介致します。
1990年代以降、日本で進められてきた教育改革は、総体として“脱詰め込み”“脱画一化”の指向性を強く有し、賛否両論をひきおこしつつ今日に至っている。一方アメリカ合衆国では、1980年代から一貫して学力の向上(=詰め込み型教育への傾斜)と全米共通の学習到達度の設定(=全国的画一化への傾斜)が、教育改革のスローガンの重要な構成要素となっている。日米両国のこの「差」はなぜ生じたのか。実際にアメリカでどのような教育改革が進展しているのか。本演習では、これらの問いをスタートとして、アメリカの教育制度の特質に迫ってみたい。
そのための手段として、まさに“今”アメリカの人たちが目にしている教育関係文書(論文、エッセイ、連邦政府文書、州政府文書等)をインターネット等から入手し、積極的に読み進めていこうと考えている。 人間学類シラバスより |
2002年1月、アメリカでは、初等中等教育法を改正する法律(Public Law 107-110)、通称「No Child Left Behind法」が、「一人たりとも落ちこぼさないため、アカウンタビリティー、柔軟性、選択の原則に基づきつつアチーブメント・ギャップを解消する(To close the achievement gap with accountability, flexibility, and choice, so that no child is left behind.)」ことを目的に成立しました。本法の成立は、才能ある生徒のアチーブメントをさらに向上させつつ、社会的に不利な立場に置かれてきた生徒たちのアチーブメント向上のための手厚い施策を求めるアメリカの教育の現状を示す象徴的なできごととして捉えられます。
また本法は、「結果至上主義」とも言うべき、アウトカム・コントロール型教育改革の推進法としての側面も強く有しています。アチーブメントの向上という目標を達成し得るのであれば、その方策には大幅な自由を認めようとするものです。
さらに本法は、教員養成・採用・研修制度の改革もその焦点の一つとしています。日本でも「人間は教育によってつくられると言われるが、その教育の成否は教師にかかっていると言っても過言ではない。(中央教育審議会答申、2005年10月)」と指摘されていますが、優秀な教員の確保は国や時代を問わず常に教育改革の柱とされてきました。しかし、従来から教員不足が指摘されるアメリカでは、教員をめぐる諸改革は“激烈”とも言える程度で進行しているのです。
このような状況を受けて、本演習後半では、「No Child Left Behind法」における教育改革の焦点を軸としながら各自が研究テーマを選び、その成果を持ち回りで発表するという形式をとりました。以下に掲げる報告は、それらの発表を基盤としながら、各人が最終レポートとしてまとめたもので す、各レポートの「質」にバラツキがあることは否めません。また、どのレポートも学術的に見て稚拙かつ未完成であることも事実です。けれども、参加した学生がそれぞれの課題に真摯に取り組み、その成果をまとめ上げたことは事実ですし、この点において胸を張れるレポートだと確信しています。特に、4年生は卒業論文との同時作成となりましたが、その多くが卒業研究とは切り離した課題にあえて挑戦しています。その積極的姿勢を評価したいと思います。
なお、レポートの公開を希望しない学生については、その氏名を含め掲載いたしておりません。ご了承下さい。
2003年度
2004年度
2005年度
2006年度
2007年度
お読みいただいた皆様からの忌憚のないご意見・ご感想をお待ち致しております。
2008年3月19日
【お詫び】
人間学類が使用しているサーバーの変更に伴い、一部のデータに破損が生じてしまいました。できる限り復旧に努めましたが、オリジナルデータの欠落により再掲載できなくなってしまったレポートも存在します。レポートの掲載ができなくなってしまった皆様に深くお詫び申し上げます。(もしよろしければ、ご本人からオリジナルデータのご提供をいただけましたら幸いです。ご連絡をお待ちしています。)
担当:筑波大学人間総合科学研究科 准教授 藤田晃之