米国における学校中退問題への対策
2.米国の学校中退問題を考える上での前提
@人種間格差、貧困、マイノリティの問題
低所得世帯の生徒の中退率が高い
A州により異なる義務教育年限と学校区により定められる学校段階区分
入学者選抜がないため、公立高校の圧倒的多数は総合制をとっている
多くの州において、ハイスクール在学中に義務教育が終了し、中退者が大量に出現
Bドロップアウトの定義や統計が曖昧
州・学校区・学校により報告するドロップアウトの基準が異なる
3.統計から見る中退の現状
◆中退率を示す統計(連邦教育統計センター「NCES」による)
…16〜24歳人口のうちハイスクールに入学したが卒業資格を有していない者の比率
1990年 12.1%
1996年 11.1%
2001年 10.7%
※中退者のうち、「一般教育到達度試験」や「全米外部卒業証書プログラム」(後述)の修了者は含まれない
→実際の「中退」率は全米平均で20〜30%
◆中退率における人種間格差(2001年)
白人…7.3%
黒人…10.9%
ヒスパニック…27.0%
※2000年国勢調査の人口比でヒスパニックは黒人を逆転(15.3%)、さらに増加している
ヒスパニックは独自のコミュニティ社会を形成
・英語習得が必然ではない
・学校教育が必然ではない
…国家の中に価値体系を異にする社会が存在することは容認されるべきか? というマルティカルチュラリズム(多文化主義)の問題が議論されている