2.報告書の概要―Evaluation of the Magnet Schools Assistance Program, 1998 Grantees :Final Report−とはどのようなものだったか

○調査対象:1998年から3年間MSAP(Magnet Schools Assistance Program)の補助金を受けた57の学校区、292校

○調査方法:

・全部の学校区に対して電話インタビューの実施(1999年度・2000年度・2001年度)

・封書による調査と292校全部の校長に対する調査の実施(1999年度・2001年度)

・各学校からデータを収集し、調査員を各学校に派遣

・8校を対象に事例研究

○MSAPから補助金を受けた学校の特色

・MSAPから補助を受けているマグネット・スクールの60%は小学校段階の学校(elementary schools)

・1998年に補助金を受けた292校のうち285校が2000年度までMSAPから補助金を受 けた。

・上記の学校は年間300,000ドルの補助金を受けていた

・88%の学校がマグネット・カリキュラム(魅力的なカリキュラム)を全生徒に提供するプロ グラムを実施していた
 (残りの12%の学校ではマグネット・カリキュラムを一部の生徒にしか提供してない)

・MSAPから補助金を受けている学校の入学者にはマイノリティーの生徒が多い。(平  均73%がマイノリティー)また、貧困層の生徒もたくさんいる。(約60%の生徒が無料   又は割引された価格で昼食の提供を受けている)

※1 MSAPから補助金を受けている学校の70%はTitleTプログラムを実施している。

・MSAPから補助を受けているマグネット・スクールでは入学者獲得にも力を入れている※2

※2入学者 獲得のための努力

Minority isolationをなくしていくためには学校区内や近隣の学校区から生徒を集める必要がある。
入学者獲得に力を入れることで各学校はMinority isolationの状況を緩和していこうとしている。

入学者募集の努力については以下のような側面から捉えることができる。

1. 入学者獲得のために人的資源を活用する

2. MSAPのサポートを受けている学校に興味を持っている生徒や親に対する校外での広報活動

3. 白人の生徒が多くいる地域に重点的に入学者獲得の活動を行う

▽1.について、入学者獲得には学校職員以外に生徒や保護者も協力している。具体的には以下のようなことが行われている。

校長・教頭:学校見学を行う。

教師:学校見学者に説明を行う。新入生獲得のために他校を訪問する。

生徒:学校見学の企画に携わる。新入生獲得のために他校を訪問する。

保護者:外の保護者に学校の説明をする。Magnet Schoolに関する情報提供を電話で行う。

その他

これらの努力は人種差別撤廃の努力をするようMSAPから求められている学校と自主的にやっている学校とでは差が見られる。 前者がより多くの努力をしている。

▽2.については、具体的には以下のような方法が取られている。

・パンフレットの作成

・生徒向けの情報

・交通手段は提供しない学校見学・情報を求める保護者へのールサービス

・メディアを使った広告・教会や地域機関での説明会・他校での説明会・全ての保護者へのメールによる情報提供

・インターネットでの情報提供

▽3.について、自主的に人種差別撤廃の努力をしている学校のほうが、白人の生徒が多くいる地域に重点的に入学者獲得の 活動を行っている。

それでは続く2つの章で、人種差別撤廃の進展(Minority Group Isolation の解消)状況と Achievementの達成状況についてそれぞれ個別に考察していく。

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