第3章:Comprehensive School Reform Program (CSR Program)


 学校における人種間格差解消の現状について見ていく前に、具体例として挙げる学校を選び出す必要がある。
そこで、その基準を得るために、Comprehensive School Reform Program(CSR Program)を取り上げる。

 CSR Programは、1998年より始められ、ESEA(初等中等教育法)におけるTitle 1,PartFとして定められている。
 これはNo Child Left Behind Act(NCLB法)の重要な構成要素であり、研究や効果的な実施の科学的根拠に基づいた包括的学校改善を実行するために、公立学校を援助することによって児童生徒の学業達成を高める手助けをするものである。
 生徒の高い学業達成を手助けすべく、包括的改善を進んで採用することを指し示した特定の学校のために、州は学校区に対して競争的な補助金を提供する。
 そして補助金を提供される学校は、法律によって説明されている11の構成要素を満たす必要がある。
 11の構成要素は以下の通りである。
  (1)研究に基づいた科学的根拠によって証明された方法や戦略を使用する。
  (2)包括的な計画を調整された構成要素と結びつける。
  (3)教師やスタッフに、継続した質の高い専門性の発達(現職研修等)を供給する。
  (4)児童生徒の学業達成について測定できる目標や基準を含んでいる。
  (5)教師や校長、スタッフに支持されている。
  (6)教師や校長、スタッフへの支援を提供する。
  (7)学校改善活動の計画や実行、評価への親や地域の意義のある参加を提供する。
  (8)学校包括的な改革や改善において経験や専門的知識のある外部のパートナーからの、質の高い技術的な支援や援助を受ける。
  (9)毎年、戦略の評価や、学校改善の実施、児童生徒の成績達成度の計画を立てる。
  (10)学校の包括的な改善の努力を支援し保持する資源を同定する。
  (11)児童生徒の学業達成の意味深い促進が見られるか、もしくは児童生徒の学業達成を促進するであろう強い証拠を明示する。
 また、学校区教育委員会に補助金を与える際には、州は都会や田舎の地域といった、地理的に異なる地域ごとに公平な配分がなされるよう考慮しなければならない。
 補助金を受ける学校は少なくとも1年に5万ドルは与えられ、3年まで更新できる。

 CSR Programは、とりわけ人種的マイノリティや貧困層の児童生徒が多くいる学校に向けられたものであり、このProgramに採用されると、包括的学校改善のための補助金の提供を受けることができるのである。
 今回はその中から、第1章にも示した全児童生徒の約70%をマイノリティが占めるカリフォルニア州に焦点を当てて、ロサンゼルス群Los Angeles Unifiedで2006-07年に採用されたDana(Richard Henry)Middle schoolとMarina del Ray Middle schoolを基準にして、学校における人種間格差解消の現状について検討することにする。
 2校への補助金は、生徒1人当たり$200とその合計の10%である学区の補助金を合わせた額で、それぞれDana(Richard Henry)Middle schoolが$442,440($402,200+$40,220)、Marina del Ray Middle schoolが$302,720($275,220+$27,520)である。

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