第1章:NCLB法における“Highly Qualified Teacher”の位置づけ

アメリカではNo Child Left Behind法(以下NCLB法)のもとで、すべての子どもに能力の高い教師をつかせることを保障した。 それは子どもたちの可能性を十分に活かすという公教育の義務を果たす手助けとなるものである。 そのために州は2005年−2006年の最終期限(2005年度末)までにすべての教師を“Highly Qualified Teacher”にすることが求められている。

またその一方で、教師の質の向上、“Highly Qualified Teacher”を増やすことによって、生徒の学習到達度をあげるために努力する州教育委員会(SEA)または地方教育委員会(LEA)に対して補助金を与えることとしている。

NCLB法では州に以下のようなことを要求している。
  1. どの程度の生徒(特に少数民族や障害を持った生徒たち)が“Highly Qualified Teacher”に教えられているかを調べ、
  2. すべての教師が“Highly Qualified Teacher”であることを確保するための目標や計画を採用し、
  3. 教師の質の目標にむけての計画と推移を公的に報告する

“Highly Qualified Teacher”の定義
“Highly Qualified Teacher”とは、各州において教鞭をとる全ての公立小中学校の教師に関わることである。その意味は以下のとおりである。

(A)(@)仮免許や仮資格ではなく、完全なる州の資格を得た人か州の教員免許試験を合格した人で、 教鞭をとるための免許を保有している人のことである。(公立のチャータースクールの教師は別扱い)

(B)(@)教職経験のない小学校の教師に対して使われるときは、
(1)少なくとも学位を取得していること、に加え、
(2)州検定の試験に合格すること(それによって、読み、書き、 算の教科知識・教育技術や他の基本的な小学校教育課程の分野に関して の知識や教授技術を示すことができる。)が求められる。
(A)教職経験のない中学校の教師に対して使われるときは、
少なくとも学位を取得していること、また以下のものの いずれかを通して教える科目に関して高い能力を有していること を示さなければならない。
(1)自分の教科に関しての州検定の試験に合格すること
(2)好結果の修了(専攻学問、卒業単位、大学在中と同様な役割、高度な資格・成績証明書)

(C)現行の教師(2002年1月8日以前に雇われた教師)に対して使われるときは、
少なくとも学位をしていることに加え、
(@)(テストの選択を含むが、)Bの@かAの基準に適応可能な標準を満たすか
(A)受け持つ科目に関してHOUSSEを受け、能力があることを示さなければならない。

対象となる教師

中心科目(core academic subject)を教えている全ての教師が対象となる。
中心科目とは、英語、国語、数学、科学(生物学、化学、地学、薬学、物理学)、外国語(フランス語、ドイツ語、ラテン語、スペイン語)、公民、政治、経済学、芸術(美術、音楽)、歴史学、地理学、である。

期限

  1. TitleTの補償を受けている、2002年度以降に採用された中心科目の教師は、採用の段階で“Highly Qualified Teacher”の条件を満たさなければならない。
  2. TitleTの補償を受けていない、2002年度以降に採用された中心科目の教師は、2005年度末までに“Highly Qualified Teacher”の条件を満たさなければならない
  3. TitleTの補償を受けているいない関係なしに、2002年度以前に採用された中心科目の教師は、2005年度末までに“Highly Qualified Teacher”の条件を満たさなければならない
目次へ 序章へ 第2章へ