本研究の概要
■研究目的の概要
本研究は、メインストリームの生徒集団から違和感・疎外感等を感じ、学校適応上の困難を抱え、いじめや排斥の対象となりやすい生徒(=バルネラブル(vulnerable)な状況に置かれた生徒)を対象とし、彼/彼女らの学校から社会への移行支援の在り方を探るための国際比較研究を実施するものである。本研究の特質は、日本の特別支援教育の枠組みでは十分な指導支援が提供されてこなかった者に対象を絞った点に特質を有する。具体的には、
① 外国にルーツをもつなどにより公用語指導等の必要な者
② 性的少数者(LGBTQ と総称される性自認・性的指向をもつ者)
③ 歴史的・社会的な背景から出自・居住地・人種・民族等を理由にいじめや排斥等の対
象となる傾向が強い者を中核対象とする。
これらの生徒らが、自己肯定感を損なわずに学校生活を送り、学校教育から社会へ円滑に移行し社会参画をするための指導支援等はどうあるべきか、また、そのような支援指導等をシームレスに提供するための仕組みはどのように整えられるべきか。本研究は、日本・韓国・アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・フランス・デンマークを対象とした国際比較研究を通してこれらを追究することを目的とする。
■研究チーム(所属は2025年3月現在)
●研究代表者
藤田 晃之 (筑波大学 人間系)
●研究分担者
芦沢 柚香 (常磐大学 人間科学部)
石嶺 ちづる (愛知教育大学 教育科学系)
岡部 敦 (清泉女学院大学 人間学部)
京免 徹雄 (筑波大学 人間系)
坂野 慎二 (玉川大学 教育学部)
白幡 真紀 (仙台大学 体育学部)
高橋 洋行 (立正大学 社会福祉学部)
立石 慎治 (筑波大学 図書館情報メディア系)
藤田 駿介 (流通経済大学 経済学部)
三村 隆男 (早稲田大学名誉教授)
宮古 紀宏 (国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センター)
ライアン 優子 (静岡大学 国際連携推進機構)
●研究協力者
安里 ゆかし (筑波大学 大学院人間総合科学学術院 / 日本学術振興会特別研究員)
才鴈 武也 (筑波大学 大学院人間総合科学学術院 / 日本学術振興会特別研究員)
田中 光晴 (文部科学省 総合教育政策局)
峯 啓太朗 (筑波大学 大学院人間総合科学学術院)
吉川 実希 (筑波大学 大学院人間総合科学学術院)
公開シンポジウムの開催(2025年3月15日)
2019年1月14日(月曜日・祝日/13:00-16:00)、筑波大学東京キャンパス文京校舎120講義室を会場として、インターネットによる同時配信も並行させ、研究成果を広く公開するためのシンポジウム「多様な背景をもつ生徒の社会的移行の壁をなくすために―世界の支援体制から学ぶヒント―」を実施いたしました。70名近い方々から事前申し込みを頂戴し、ディスカッションにもご参画賜りましたことは、後継する研究に向けての大きな糧となりました。当日のプログラムは以下の通りです。
■プログラム
13:00-13:10 趣旨説明
13:10-14:10 各国担当班による報告(前半・4カ国×15分)
14:10-14:20 休憩
14:20-15:20 各国担当班による報告(後半・(4カ国×15分)
15:20-15:30 休憩
15:30-16:30 質疑応答・全体討論
報告書(2019年3月31日)
2020(令和2)年度から4年間*にわたって継続して参りました本調査研究の成果報告書を以下に掲載いたします。全体で158ページ、30MB近い大きなPDFファイルですが、ご高覧賜ることができましたら幸いに存じます。*新型コロナウィウルス感染症パンデミックの影響により2024(令和6)年度まで1年間延長しました。
本報告書の構成は以下の通りです。
Ⅰ.研究の目的等
1.研究の目的 〈5〉
(1)本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」
(2)本研究の目的
(3)何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか
(4)研究代表者、研究分担者、研究協力者等の具体的な役割
2.交付決定額 〈11〉
3.新型コロナウィウルス感染症パンデミックの影響による研究期間延長について 〈11〉
Ⅱ.実施した調査の概要 〈13〉
Ⅲ.これまでに発表した調査対象国別の研究成果一覧 〈17〉
Ⅳ.これまでに発表した研究組織としての研究成果
- 日本キャリア教育学会第45 回研究大会-会員企画シンポジウム2-「バルネラブルな生徒・中途退学者等に対する学校から社会への移行支援に関する国際比較-第1次報告-」(2023 年10 月29日 〈27〉
- 日本キャリア教育学会第46 回研究大会-会員企画シンポジウム4-「バルネラブルな生徒・中途退学者等に対する学校から社会への移行支援に関する国際比較-第2次報告-」(2024 年10 月20日) 〈59〉
- IAEVG (International Association for Educational and Vocational Guidance) Conference 2024-Symposium 5.2- "International Study on School-to-Work Transition Support for Vulnerable Students:Focusing on Students Requiring Language Support" (2024 年11 月13日) 〈95〉
- 研究成果公開シンポジウム「多様な背景を持つ生徒の社会的移行の壁をなくすために-世界の支援体制から学ぶヒント-」(2025 年3 月15日) 〈115〉