筑波大学 キャリア教育学研究室のサイトへようこそ。
日本でキャリア教育の推進が提唱されてから四半世紀以上が経過しましたが、各学校にその実践が定着したとは言い難く、取り組むべき課題は未だに山積しています。一方で、現行学習指導要領や一昨年(2023年)6月に閣議決定された第4期教育振興基本計画は、全ての学校における体系的なキャリア教育の実施を明示的に求めています。例えば、第4期教育振興基本計画には「幼児教育から高等教育まで各学校段階を通じた体系的・系統的なキャリア教育を推進する。初等中等教育段階においては『キャリア・パスポート』等を活用し、児童生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を育成する取組を通じて、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していくキャリア発達を促進する」と記されています。 キャリア教育の更なる充実は「待ったなし」ですね。
無論、学校教育を支える先生方の勤務時間が他の国々と比べて突出して長いことなどを踏まえ、先生方の負担過剰を避ける方途を「社会に開かれた教育課程」の中で模索することもキャリア教育の推進上不可欠です。
このような中にあって、学校で日々奮闘なさっている先生方や、教育行政の現場で「縁の下の力持ち」の重責を果たしていらっしゃる皆様が、家庭や地域社会の方々と必要な連携を図りつつ、笑顔でキャリア教育に取り組んでいただけるようになること。そして、一人一人の子どもや若者が、不透明で混沌とした社会にたじろぐことなく参画し、より良い未来を構築するための力を身につけることができるようになること。これが私たちキャリア教育学研究室の願いです。
この願いの実現に少しでも近づけるよう、私たちは、国内外の関連理論・制度・実践を幅広く分析対象としながら研究活動をすすめています。今年度は、博士前期・後期課程の院生13名がそれぞれ設定した研究テーマに基づいて頑張っているところです。毎週、月曜日の夕方に開催している研究会には、この他にも、教育学類の学生、人間総合科学学術院教育学学位プログラムの院生、教員研修留学生など、合計20名ほどが参加しています。
筑波大学の教育学関連分野において、独立した専門研究領域としてキャリア教育学が認められたのは2015年度のことです。人間の発達になぞらえれば今年で満10歳。小学校5年生です! 無邪気な子ども期を脱し、思春期を迎える頃ですね。性差も顕著になり、心身の発達のバランスが不均衡になってしまう子も少なくありません。そして、論理的思考力や表現力がグッと伸びるのもこの時期です。私たちキャリア教育学研究室も、そのような5年生たちに負けない成長が遂げられるよう、そして思春期特有の疾風怒濤の葛藤にも正対しながら、研鑽を重ねて参りたいと存じます。関心のある方は是非お問い合わせ下さい。お待ちしています!
(2025年4月20日)