これまでの活動・研究

本プロジェクトにおける活動目標

支援すべき対象

・災害救援に当たる職員:消防,看護,公務員,教師,保育士,施設職員(高齢者施設・障害者施設)
・上記の職員をマネジメントする管理職
・各施設の入所者・通所者・患者
・施設に避難してきた人
・派遣職員・ボランティア協力者

支援すべき時期

・緊急期・急性期   
・復旧期・亜急性期
・生活再建期・疲労や悲嘆の表出期
・復興期・心の再建期

構築していく「ピア」の次元

1. 施設内におけるピアサポート:職場内で支え合う関係の構築
2.法人内におけるピアサポート:災害発生に備えた,事前のBCP(事業継続計画)の構築
3.県内・地域内におけるピアサポート:施設間の連携
4.外部ネットワークの構築:ネットワークの維持拡大を図るための手続きや方法論の創出

これまでの主な活動内容

消防職員チーム
・ピアサポートネットワークの構築に向けて,ネットワークの質を向上させるための研修の実施(東京,福岡)
・研修参加者へのピアサポートコミュニティへの参加の呼びかけ
・NPO法人(日本消防ピアカウンセラー協会)の設立

看護職員チーム
・被災看護管理者を対象とした「傾聴研修」の実施
・岩手県久慈市・宮古市・大船渡市・山田町・大槌町・釜石市沿岸地域病院の訪問,看護管理者との面談
・上記被災沿岸地域13病院で働く看護師以上の看護管理者を対象とした意識調査
・ピアサポートの拠点作りのための,南海地震が想定されている和歌山県内での研修の開催

一般公務員チーム
・自治体職員および専門家への聞き取り調査の実施(福島県)
・講演会の開催「東日本大震災時の福島県での支援者の支援状況について」
・惨事ストレスケアの実態に関する調査の実施(宮城県内の自治体への面接調査と質問紙調査)

教師チーム
・被災地(千葉県,中越地震被災経験のある新潟県)での面接調査の実施,内容分析
・被災地域の教師に対するストレス対策に関する文献調査
・教育委員会と連携した研修会の立案
・震災未経験地区での質問紙調査の実施
・惨事ストレスケアの実態に関する予備調査の実施(福島県調査,海外調査)
・海外で開発された自然災害・学校危機の予防介入プログラム(PREPARE)の日本における適用と研修会の開催

保育士チーム
・私立幼稚園・保育所・公立保育所の管理職(園長、所長、副園長)への聴き取り調査の実施
・調査内容の分析および国際学会での発表
・量的調査の計画立案,国際比較研究の実施(予定)
・ニュージーランド国の復興省,カンタベリー地区の幼稚園教諭への支援にあたった団体等への聞き取り調査(予定)

高齢者施設チーム
・一昨年度に提供を受けた高齢者施設の職員、管理職の面接資料に基づく,管理職が行ったストレス対策の分析
・日本老年行動科学会等での研究成果の発表
・公開シンポジウム「東日本大震災において障害者施設・高齢者施設の管理職者が行ったこと」の開催

障害者施設チーム
・被災地域の障害者支援施設の運営法人関係者への面接調査の実施
・障害者支援施設(東松島市)の職員への郵送調査の実施

研究の成果・報告書(PDF)

災害下における保育者への支援について
大きなストレスの後の子どもへのケアについて

各チームの調査・面接・分析から見えてきたこと:共通性

・被災地では、物的資源に対する支援に加えて,ストレスケア(情緒的な支援)が必要とされていた
・その際,支えとなるのは,職員としての「責任感」・「使命感」であることも伺われる
・そうしたストレスに対するケアの一つとして,以前から知っている人どうしのつながりや,「飲み会」といったインフォーマルな場なども有効に機能している可能性
・その一方で,特に,管理職にはケアがなかったという現状が伺われ,ストレスケアを必要としている人こそがケアを受けていないという現状も推察される
・また,ストレスケアを行うことの必要性は,災害救援に関わる職員自身において,十分に意識・共有されていない可能性も
・ストレスケアに関する講演・研修を行う際には、被災経験者と非経験者をつなぐことが有効に機能するのでは

各チームの調査・面接・分析から見えてきたこと:個別性

・職種による違い:特に,災害救援にあたる際の対象者の範囲や,既存のケアシステムは職業ごとに異なる
・施設の特性:災害対応時における,「入所施設」の強み
・地元との関わり方
・被災状況(避難状況):3県において大きな差
・資源:外部からの支援・調達がどの程度なされたかも,職業ごとに異なる/既存組織の考え方(BCPなど)が関与している可能性

これからの方向性

プロジェクトを通して残していくべき内容

・学会発表・学会誌への投稿という形での還元・アウトリーチ活動
・マニュアル・パンフレット・資料集の作成
・標準化された研修プログラムの構築
・県外・県内の交流(ネットワーク),コミュニティの構築
・NPOの設立