高齢者施設管理職・職員の皆様へ

高齢者施設管理職・職員の皆様へ―地震後の対応に注意することなど(2016.4.23)

筑波大学人間系 大川一郎
明治学院大学 岡本多喜子
松陰大学 中村淳子
筑波大学非常勤研究員 神田尚

このたびの震災につき、深くお見舞いを申し上げます。また大変な惨状の中で,高齢者・施設利用者の皆様のためにご活躍されていらっしゃいますことに、心より感謝を申し上げます。
ここでは,震災後の対応として,注意すべき点やご検討いただきたい点,対応の際などに気をつけて頂きたい点などについてまとめております。管理職および職員の皆様にとって,少しでもお役立ていただけましたら幸いです。

1. 外部からの人の支援を依頼する場合

・なるべく九州地区の施設関係者に派遣を依頼してください。利用者の言葉が理解できする方、職員がいつもの言葉で安心して指示を出せる方が望ましいです。
・スタッフを送りだした施設では、不足分の職員を四国や中国地方の施設から人手を確保できるように、施設間で調整をしてください。
・つまり、「玉つき」状態で職員を派遣してください。

2. 大きな被災をした職員と被災の程度が軽かった職員への対応

・管理職の方は,職員の話しをゆっくりと聞いてください。大きな被災をした職員に対しては,経済的な支援も検討してください。
・同じように,被災の程度が軽かった職員の話しも聞いてください。
・職員も疲弊しています。順番に「揺れの来ない地区」や「ゆっくりと温泉に入れる場所」へ行くことを進めてください。
・外部からの支援者に、被災の経験を話してください。外部からの支援者はそれを受け止めてください。

3. 管理職の自己支援

・管理職はとても疲弊しています。目の前の仕事があることで、緊張状態にありますが、実際は精神的にも肉体的にも限界が来ていることでしょう。是非、熊本から離れる時間をなるべく早く作ってください。会議への参加でもかまいません。揺れない世界があることを思い出してください。
・外部の支援者に自分の辛さを話してください。管理職が自己管理できるかどうかが、施設の再建に大きく影響します。
・他の施設の施設長や管理職同士が話し合える場を設定することもいいでしょう。

4. 利用者とその家族への支援

・地震の大変さを認識していない利用者もいることでしょう。利用者の家族は利用者が施設にいることで安心していることでしょう。施設長は職員とともに、「日常」を職員に提供しましょう。
・利用者家族、職員家族などを施設に避難してもらうことも検討しましょう。

災害対応は長期戦になります。施設職員および管理職の皆様が,利用者の生活を支えるためにも、まず皆様自身が、充分にストレスを和らげつつ業務を遂行できるよう、益々のご高配を戴けますようお願いします。

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