保育関係者の皆様へ

被災された保育関係者の皆様へ(2016/04/26)

筑波大学人間系 安藤 智子
埼玉学園大学人間学部 佐々木 美恵
筑波大学(非常勤研究員) 脇坂 陽子

このたびの震災につきまして,心よりお見舞い申し上げます。余震の継続やそれぞれの被災した状況の中で,日々尽力されていらっしゃることと存じます。
これまでにわかっていることや私どもの調査結果をここにまとめました。まずはこのような形で皆様のお役に立てたらと思い,お送りする次第です。お時間のあるとき,必要なときに手にとっていただけましたら幸甚に存じます。

災害を体験すると,心身両面に反応が表れることがあります。

考えの混乱,不安になる,自責感,悲しみ,寂しさ,恐怖,怒り等のこころの反応や,疲れ,頭痛,心拍数の増加,睡眠困難等のからだの反応が生じることがあります。

ときには,再体験(つらい体験がよみがえる感じ等),回避(つらい出来事を思いだす刺激を避ける等),感覚の麻痺(喜怒哀楽を感じにくくなる等),孤立感,ひきこもる,過覚醒(緊張,警戒,イライラ,眠れない,注意集中困難等),つらい体験を思いだす刺激に対する苦痛の感覚,といったつらい反応が続いていくこともあります。

自分自身や周りの人の心身のケアをぜひ大事にしてください。

次のようなことが有効だと考えられています。

誰かに自分の気持ちを話して支えてもらう  誰かにそばにいてもらう
休養・休息  健康的な食事  適度な運動  いつも通りに過ごす
気分転換  リラックスできることをする
楽しいことの計画  状況をよくするためにすぐにできそうな現実的なことに取り組む
日記をつける  医師やカウンセラーに相談する

私どもの調査結果からお伝えできること

東日本大震災で被災した保育所・幼稚園の管理職の先生方に,大震災後に受けた支援についてお話をうかがいました。その結果から,次のように留意点をお伝えできます。

(1)園内で,あるいは園を越えた保育者間でお互いに積極的に声をかけ合っていくことは,気持ちの面での支えとなります。
(2)相談したり,情報交換をしたり,他園の管理職,保育者とつながり合っていくことが助けとなります。積極的にお互いに手を伸ばし合っていきましょう。
(3)家族や自宅が被災した保育者の心のケアは,とくに気にかけていく必要があります。
(4)職員間での語らいの時間は,よい休息,寄り添いの時間となります。積極的に場を設けていくことをおすすめできます。

今後も長期的に復旧,復興が続いていくことと存じます。先生方ご自身も被災されながら,保育者として奮闘されていくことと推察いたします。先生方ご自身にも継続的に負担のかかっていくことですので,こまめに心身を休ませながら過ごされますよう願っております。

引用・参考文献

災害時のこころのケア サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き 原書第2版
(アメリカ国立子どもトラウマティックストレス・ネットワーク・アメリカ国立PTSDセンター著,兵庫県こころのケアセンター訳,医学書院,2011)

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