障害者施設職員の皆様へ

障害者施設職員の皆様へ-地震後の対応に注意すること等

調査班代表 筑波大学人間系 小澤 温

このたびの震災につき、深くお見舞いを申し上げます。また大変な惨状の中で,利用者の皆様のためにご活躍されていらっしゃいますことに、心より感謝を申し上げます。
東日本大震災の障害者施設を対象にした調査研究をもとに、特に留意していただきたいこととして、以下の点をあげました。この度の震災に少しでもお役にたてば幸いです。

1.外部との連絡窓口の一元化

被災後は、外部との連絡調整(ボランティアの受け入れ等)が非常に多くなります。法人・事業所などで連絡窓口を一元化し、直接支援員等は利用者対応に専念して頂くことが重要です。

2.法人・事業所内での勤務形態の合意形成

障害者施設では、同じ法人内でも、事業形態の違いによって被災後の勤務形態が異なることがあります。被災以降の勤務形態に関して、不平等感を生まないように配慮することが大事です。

3.職員の家族の安否確認、自宅の片付けの時間を確保する

障害者施設で働く方の多くは、被災後も強い使命感から利用者支援や施設業務に専念し、自身の生活再建が遅れてしまうことがあります。被災以降の勤務形態に関しては、管理職以上の職員も含めて、必ず休暇を入れる様にし、生活再建の時間を取れるようにすることが重要です。

4.今後の福利厚生や手当に関する情報提供

自宅に被害を受けた職員は、経済的な不安を強く抱きます。可能であるならば、法人として今後どのような手当や保証ができるのか、なるべく早期の段階で明示することが肝要です。

5.自身の不安やストレスをため込み過ぎない

広域災害後は、多くの方が自身の被害状況を過小評価し、周囲に配慮して不安や苦労を口にすることをはばかります。こうしたストレスを心にため込み過ぎず、身近な親しい人や外部から支援に来られた方に吐露することも大切です。そして、特に意識して休養を取ること(入浴等)も大事です。また、平常業務に戻った後にそれまでの心理的な疲れが出てくることがあります。その際は、外部の専門家へ相談することも手段の一つです。

6.管理職の方のストレス対策

緊急時であるほど、自身の指揮命令に対してプレッシャーが掛かります。また、後になって、自分の判断に自責感や後悔といった感情が生じることもあります。「有事の際の判断は、ベストではなくベターである」と割り切ることも、精神的な安定のために大切です。

災害対応は長期戦になります。施設職員および管理職の皆様が,利用者の生活を支えるためにも、まず皆様自身が、充分にストレスを和らげつつ業務を遂行できるよう、益々のご高配を戴けますようお願いします。

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