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受験生へのメッセージ

受験生へのメッセージ

受験を考えている皆様へ

これを読まれている方の多くは大学受験を控えた高校生かと思います。しかし,大変残念なことに,私にはもう大学受験の頃の記憶がほとんど残っておりません・・・。そこで,“なぜ心理学に興味を抱いたか”といったお話は若い後輩たちに託し,私は入学後のお話をします。

私は心理学類を卒業した後,筑波大学大学院に進学し,今もなお在学して心理学を専攻しています。

私は,大学時代から一貫して性格に強い関心を持ってきました。人の性格は千差万別ですが,その中にはちょっと付き合いづらい人や,周囲の人との軋轢を生みやすい人もいます。そして,身近にいるそのような人々への対応に思い悩みやすい人もいます。

大学3年の秋頃に卒業論文のテーマを決めようとした際,私は“どうしたらいろんな性格の人との人間関係が上手くいくか”が分かったらいいなぁと思い,まずは“いろんな性格”についての卒業論文を書きました。大学院入学後も引き続き同じテーマで研究を重ねてきましたが,今でも当初の目的は達成されていません。

一般に,学問や研究とは,わからないことを解明するために行うものです。しかし,私が心理学の研究を重ねる中で気づいたことは,“人間って本当によくわからない”ということでした。100年以上前から先人たちによって数多の研究が行われ,多くのことが明らかにされた今でも,人の心にまつわる謎はほとんど解き明かされていないと言っても過言ではありません。

心理学の研究対象となる事象は,日常生活の至る所にあります。私たちはどうやって物事を記憶し,そして忘れてゆくのか,どうして人前で緊張してしまうのか,やる気はどこからやってくるのか――これらは全て心理学の研究によって明らかにされてきたことです。そして,心理学類の歴代の卒業生たちは,自分なりの疑問を提起し,科学的手法を用いて研究し,卒業論文を書いてきました。私を含めた一部の卒業生は,その後大学院に入学し,研究を続けています。

心理学に関する疑問は,少し研究しただけでは答えに辿り着けないものが大半です。だからこそ,心理学類の先生方を含め,多くの研究者が何年,何十年と研究を続けているのです。ここ心理学類では,4年間を通して心理学の基礎知識を学ぶだけでなく,新たな知見を生み出すための研究手法を学びます。大学は知識を吸収するだけの場ではなく,研究をするための機関です。研究のための素晴らしい環境が整ったこのキャンパスで,身近にある,あるいは自分自身の中にある疑問と向き合うために,ぜひ心理学の扉を叩いてみてください。

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納得のいく進路選択を

みなさんは心理学に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。最近ではメンタリストという肩書の方も目にするようになり,「心理学」という言葉に親しみをもつ人は以前より多くなったと感じています。その一方,心理学の実態について誤解している人もいます。

心理学には,心理テストやカウンセリング以外にも数多くの研究領域があります。例えば,人を対象に実験や面接を行うだけでなく,ネズミを用いて実験することもあります。「心理学類」の大きな特徴の一つとして,その広い領域に対応している点があります。

入学後には心理学に対するイメージと現実のギャップのため,心理学に対する価値観が大きく変わる人も少なからずいるでしょう。心理学がいかに広い領域をもっているか,そしていかに多くの視点から「心の理」にアプローチしているかを知ることになるからです。そのような価値観の変化の中で,思っていたことが勉強できないと感じる人もいるかもしれません。例えば,脳から心を紐解こうとすれば生物の知識が必要になりますし,心理学には欠かせない統計について学ぼうとすれば数学の知識が必要になります。そこで戸惑わないためにも,心理学の実態を知った上で,納得のいく道を選択すると良いでしょう。

心理学類で学べることについては「受験生のための大学説明会」という催しでも詳しく知ることができます。この催しでは,主に1・2年生が大学での学びや生活について,赤裸々に語ってくれます。実際私もこの行事に参加し,心理学類を志望することに決めました。みなさんの進路選択にあたり,大学説明会は大きな情報元となるでしょう。

心理学を学べる学部・学科の中でも,筑波大学の心理学類では,心理学という幅広い学問を,恵まれた施設の中で,心行くまで学ぶことができます。人について学びたいと思っている人にとって,心理学は好奇心を強く刺激する学問であることでしょう。少しでも興味をもった方は,大学説明会に是非いらしてください。みなさんが納得のいく進路選択をできるよう祈っています。

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筑波大学の心理学類で学ぶということ

“心理学を学ぶと人の心が読めるようになるのか”とよく訪ねられますがそんなことは不可能です。私の印象では他人の心がどうこうの前に自分の心がわからない人がより心理学に興味を持っている印象です。大学進学というのは大変難しい決断だと思います。大学受験の勉強に追われる生活の中で自分がどんな職業に向いているのか,どんな職業に就いて将来どんな人間になりたいのか考えることは大変難しいことです。ですがそんな中でもやはり決断を迫られます。決断する際の大事なポイントは2点,なぜ筑波大学なのかという点,そしてどうして心理学なのかという点にあると思います。私は心理学というものを広い視野で捉えていたので1つの分野に狭めることなく広い視野から段々と興味のある範囲に絞っていこうという考えの下,まずは幅広く心理学に触れたいという思いがありました。また心理学に興味を持った理由は“自分”と“他者”の違いはなんだろうという答えの見えない大きな疑問を解き明かしたい気持ちから来たものです。この2つの理由から私は筑波の心理に行くんだ!と強いモチベーションを持って受験に臨みました。

そして現在,筑波に来て約1年半。思い描いていた大学生活と現実のギャップは少なからずあります。ですがそのギャップは悪いものではありません。充実していて毎日があっという間です。こんなはずじゃなかった,もう一度やり直したいと口にする学生はどの大学にも存在します。私は非常にもったいないなと思います。100%自分の理想通りの生活が待っているなんてほぼないです。大事なのは刻々と変化していく環境を楽しめるかどうかです。

このメッセージを読んで筑波大で心理学を学びたいと思った方,いつかお会いできる日を楽しみにしております。メッセージを読んでなんか違うなと思った方,このページの他の人の文章も読んでみてください。それでもなんか違うなと思った方,ぜひ心理学類のオープンキャンパスに参加して,直接心理学類生や先生方と話してみてください。その中で,あなたが求めている大学生活の手がかりがきっと見つかると思います。そして,あなたの見つけた目標に向かって頑張ってください。

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心理学を勉強してどうするの?

私は高校生の頃、部活の後輩指導で毎日叱ってばかりいました。敬語が出来なかったら呼び出し、「先輩にやらせんなよ、1年動け」とどなり、腕を組んでにらみをきかせ、そして私についたあだ名は『阿修羅』・・。ですが、こんなに毎回叱られて、後輩たちのやる気はあがったのでしょうか。指導の効果は出たのでしょうか。実は、叱ることの効果が、心理学の「動機づけ」の研究で明らかになっています。褒めるのと叱るのでは、どちらが高いパフォーマンスにつながるのか。

短期的に見れば、叱った直後はパフォーマンスは上がります。ですが、長期的にみると叱るよりも褒めてのばした方が、効果的なのだそうです。高校生の頃にこの知識があれば、後輩に恐怖やストレスを感じさせることはなかったかもしれません。

「心理学なんて勉強してどうするの?」進路のことを相談したとき、親はそう言いました。「世の中で必要とされているから学問として成り立つんだ」ある授業で先生はそうおっしゃいました。

心理学が学問として存在するからには、世の中で役に立っているはずです。ですが、私の親をはじめ私たちは意外とその恩恵に気づいていないのかもしれません。たった1年半勉強しただけではありますが、私は心理学ほど日常生活に応用できる学問はないと思っています。

筑波大学は研究に力を入れていますが、個人的には心理学を普段の生活に応用したいという考えが強いので授業中によく考えています。記憶の授業なら「こう勉強したら記憶に残りやすいんだ、やってみよう」とか、動機づけなら「部活の後輩指導に活かせるかも」とか、心理療法でも「自分の気持ちがモヤモヤしたら、ちょっと試してみよう」とか。『なるほど』から『使ってみよう』が直結していると感じます。

「心理学のこういうところが役に立つ」と何度説明しても、私の親は30%くらいしか納得できていないようです。ですが、読んでいたただいたみなさんに、少しでも心理学を勉強してみたいと思ってもらえたら嬉しいです。

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