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2023.04.11 カウンセリング学位プログラム

「大いなる初めの一歩」を踏み出そう―修了生から,受験をお考えの皆さまへ

この春に本学位プログラムを修了された、33期修了生の林幸子さんより,受験前の準備・在学中の様子・修了後の現在のお気持ち,そして,入学をお考えの方へのメッセージなど,たくさんの思いをお送りいただきました。受験をご検討されている方もそうでない方も,是非ともご覧いただければ幸いです。


受験前に

 医療職です。産業保健の業務を通して、メンタル不調の方との面談・復職支援などを行なっていく中で、カウンセリング的な関わりの中で人が変わっていく過程にずっと興味がありました。もちろん産業保健としての面談なので主に仕事の面を中心に面談をするのですが、悩みは現在の仕事についてだけではなく、家族、友人、生き方、過去、未来と、領域も時間軸も多岐に渡り、もっと総合的に効果的な支援ができないかという思いがありました。

 体系的に勉強がしたいなと思いながらも仕事や家事育児などに時間が取られ、深く考える間もなく日々を送っていましたが、日々がルーチン化しているというのか、毎日が同じようなことをただ回しているようにも感じていました。このままでいいのか、まだもっとやれるんじゃないか、そう考えている中でのコロナ禍となり、急に時間ができたことで、これから自分はどうしたいのか?仕事だけではなく自分の人生自体をどうしていきたいのか?そんなことも考えました。その上で、やはり、自分は人と関わりたい、人が幸せに生きていけるための支援をしていきたい、そのためにはもっと勉強がしたいと考え、ちょうど働きながらでも勉強できる先として社会人大学院を発見したこともあり、受験をすることにしました。

受験勉強について

 思い立ってから受験までが3ヶ月しかなく、オープンキャンパスの時に教えてもらったテキストや過去問などをもとにあらゆる隙間時間を使って勉強をしました。心理学は大学の時に一コマ履修した程度で素人知識しかないので、ほぼゼロスタートでした。概要がわからないと頭に入らないタイプなので、まず1冊心理学の教科書を買ってざっと通読。過去問を分析して出やすい分野を確認し、過去問に出てきた心理学用語と市販の公認心理師向けテキストの重要用語を踏まえて単語帳アプリで単語帳を作りながら、それと並行して知識のまとめノートの作成もしていました。

通勤時は単語帳アプリを見ながら口頭で説明できるように1人でぶつぶつやっていました(電車内でかなり怪しい感じだったと思いますが)。まずは理解して口頭できちんと説明できるようにし、同じく心理学素人の家人に面白いネタなどは披露していました。口頭試問に落ち着いて対処できたのはこのあたりが良かったと思います。インプットだけでなくアウトプットも重視して勉強しました。

入学してから

 私の入学した代は企業系・福祉系・教育系などいろんなジャンルの人がバランスよく集まっており、年代も20代から50代と幅広く揃っていました。違う業界・世代の皆さんの話は大変面白く興味深く、とにかく世界が広がりました。自分自身長く同じ業界で仕事をしているので、どうしても業界の常識となる価値観や考え方を基準として考えていることに気づきにくく、そんな凝り固まった自分の考え方に気づくこともできました。そして何より皆さんそれぞれが日々に真摯に取り組んでおられ、仕事に、勉強に、研究にと頑張っている方ばかりで、自分も頑張ろう!といつもパワーをもらっていました。

 先生方は皆優しく授業は面白く、心理学素人の素朴な疑問にも丁寧に専門家ならではの含蓄のある回答をいただけるので、毎授業時間に質問するのが楽しみでした。「心理学を学ぶ」だけであれば、今ならいくらでも教科書もインターネット上の教材もありますが、実際に長年第一線で活躍しておられる先生方の実経験をベースにしたお話は明らかに重みが違い、現場での肌感覚としての話もたくさんしてもらえるため、直接第一人者に教えてもらえることのありがたみをいつも感じていました。

研究について

 職業人生の中でもそれなりに論文を読んだりは多少はしていたものの、研究らしい研究とは無縁で来てしまったため不安でした。指導形態や進め方は指導教員となる先生ごとに違うため、事前の面談や先生との相性、自分がどの形態で指導してもらいたいかなどを勘案し、現在の先生にお世話になることになりました。

 指導教員の先生とのディスカッションは毎回楽しく、自分が現場で培ってきたもの・考えてきたことを、先生と一緒に学術的なところに落とし込むことができましたし、ひとつひとつステップを踏んで研究を作り上げていく過程も同時に学ぶことができました。論文の書き方についても、その都度指導を受け、とても大変ではありましたが修士論文を書き上げることができました。正直なところ、入学前は「カウンセリングについて勉強したい、研究の方はそんなにやりたい!というわけではないけど、まあ修了するのに必要なら…」くらいの重みでしたが、ひとつひとつ指導を受ける中で研究の醍醐味や面白さがわかり、修了した現在は、今後も研究を続けていきたいという気持ちも強く持てるようになりました。

仕事・家庭との両立について

 1年目は授業とレポート・発表課題などに追われ、2年目は研究に追われます。レポートや発表課題は時期が限られた大変さでしたが、2年目の研究は1年を通してずっとなので、2年目が格段に大変でした。授業日は定時でダッシュ帰宅が必要になりますので職場にもその点では事前に協力を依頼していました。1年目はちょうど娘が大学受験(しかも浪人)で、一緒に勉強をしていましたし、2年目も後半になると研究・論文書きが佳境で、その時期は夫がほとんど家事をしてくれていました。とにかく家族の協力は必須ですので、事前の協力依頼・折りに触れての感謝の意の表明及び家族孝行は大切です。特に夫には感謝しかありません。

振り返ってみて

 修了とはなりましたが、それはあくまで一区切りでしかなく、この2年間は「これからに向けての大いなる初めの一歩」であったと感じています。入学前は階段の踊り場のようなところでどこに行こうかぐるぐる迷うだけでどこにも行けていないという感覚でしたが、今は登りたい階段が(しかも複数)あり、「さらに向こうへ」そんな気持ちで日々を送れることが幸せだと感じています。

 自分の仕事に誇りを持って続けていけることも、自分の研究が誰かの幸せにつながることを感じ取り組める今があることも、先生方・同期の仲間・家族のおかげであり、私個人の人生も豊かになったことをとても感謝しています。