

リハビリテーション科学
修了生の声


「仕事で悩んだら学問せよ」
恩師の言葉が進学の後押しに。
西尾 香織 さん(作業療法士)
2016年 博士前期課程修了
帝京平成大学 健康メディカル学部 作業療法学科 助教
大学院への進学を考えたきっかけは何でしたか?
大学を卒業後、作業療法士として臨床の現場で5年ほど働きながら、さまざまな疑問に直面していました。「自分の行っている支援は適切なのか」「経験則だけで突っ走っていないか」と悩んでいた時、恩師から「仕事で悩んだら学問せよ」とアドバイスをいただいたことで、社会人大学院に進むことを決意しました。 筑波大学大学院を選んだのは、作業療法士の専門分野だけでなく、リハビリテーションを幅広く学べることが大きかったですね。
カリキュラムや教員陣の印象はいかがでしたか?
専門分野の担当教員だけでなく、合同ゼミで他分野の先生方から広くアドバイスをいただけたり、異なる専門の学生たちとディスカッションできる環境は魅力的でした。仕事のなかから生まれた疑問を研究につなげていくことは大変でしたが、分野の垣根を超えて学生同士で教え合う機会もあり、より広い視点から自分の疑問や考えを整理することもできました。
また、在学中に憧れの地でもあったハワイの国際学会で発表の機会を得られたことは、とても印象に残っています。先生との研究面談の際に、雑談でふと漏らしてしまった「ハワイに行きたい」という言葉を拾ってくださり「それならハワイの学会に出てみてはどうか?」とアドバイスをいただいたことが始まりでした。さらに、国際学会で得たつながりに加え、大学院の「海外武者修行支援プログラム事業」の支援を得ながら、ハワイ大学での短期留学も経験することができました。
このような経験ができたのは、学生の興味関心を研究活動に昇華できるよう道を示してくださった先生のお陰です。そんな先生の姿に触れ、私自身も教育者の一人として、学生の気持ちを汲み取りながら柔軟なアドバイスができる度量を持っていたいと、心から思っています。
一緒に学んだ学生たちはどんな雰囲気でしたか?
20代から50代まで、同級生の年代はさまざま。でも、誰もが年に関係なく打ち解け合っており、たとえば「授業の後に40分だけ飲んで帰る」というような、多忙な社会人学生ならではの楽しい思い出もあります。
在学中は、仕事と学業の両立に気持ちが折れそうになったり、体調を崩してしまうこともありました。ですが、仕事を終えて研究室に駆け込むと、先生が「ひと息つきましょう」とお茶の時間を設けてくださったり、学生同士でご飯を食べに行って励まし合ったり。先生に支えられ、同級生同士で支え合える、そんな温かな雰囲気には助けられました。

限られた時間のなかで、どのように仕事と学業を両立しましたか?
在学中に勤めていた職場は、ありがたいことに大学院進学にとても理解のある環境でした。勤務時間帯の調整など配慮をしていただき、入学当初は不安だった片道1時間の通学も、無事にこなすことができました。
とはいえ、「大学院で学んだことをしっかり復習をしたいけれど、次の日は朝早くから仕事…」という日が続くと、もっと時間があればと思ってしまうもの。そんななかで、改めて時間の貴重さに気づき、通勤通学の移動時間や隙間時間をうまく活用しようという意識を持って行動するようになりました。
大学院進学を通じて得られたものとは?
本学に入る前、私はなんでも白黒をはっきりさせなければ気が済まない性格でした。でもここでの学びや日々の中で、正解はひとつだけではなく、多様な視点で考えることの大切さを実感しました。それは、互いの価値観をしっかり認め合う本学ならではの気風によるもの。これから現場にも生かしていきたいことの一つです。
現在は、大学教員として学生と関わる場面が多く、学生が持つ価値観に戸惑ったり、驚いたりすることもあります。もし以前の自分だったら、自分の基準で「良い・悪い」を仕分けして終わってしまっていたと思いますが、自分が意外だと感じる価値観に対しても、相手の考えを想像しながら興味や疑問を持って関われるようになっています。
本学で出会った先生方は、私にとってまさに教員としての理想像です。「先生方だったらどのように対応されるだろうか?」と想像しながら、日々奮闘しています。ただし、まだまだ修行中ですが。

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