リハビリテーション科学
修了生の声

TOP 修了生の声 岡野 由実さん

学びへの渇望から勢いで進学した大学院。
でもその先には新たな世界が開けていました。

岡野 由実 さん(言語聴覚士) 
2013年 博士前期課程修了 / 2017年 博士課程修了
筑波大学ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター 研究員 ほか

大学院への進学を考えたきっかけは何でしたか?

修士(博士前期)課程への入学当時は、言語聴覚士として療育センターに勤務して3年目を迎えた頃でした。これといった進学動機があったかというと定かではなく、学びへの渇望と若さゆえの勢いだったのかなと思います。

ただ、ひとつ進学の大きなモチベーションになったものといえば、自分自身が言語聴覚士という支援する立場であると同時に、「一側性難聴」という片方の耳だけの難聴の当事者でもあったことです。一側性難聴の研究は、当事者である自分だからこそできるものという使命感があり、大学の卒業研究でも大学卒業後に進学した専門学校での卒業研究でも取り組んだのですが、自己流の研究では限界があり主観的な論文になってしまっていました。このテーマでもっとしっかり研究をしたいという思いは、ずっと持っていました。

本学位プログラムを選んだ理由は?

大学時代に筑波大学の心身障害学専攻で学びましたから、突き詰めるなら間違いなく筑波大学の大学院でと思っていました。

本学位プログラムでの研究は、「指導教官の研究室に入って、先生の研究の一端を担う」のではなく「自分が研究したいテーマに対して、先生方がサポートしてくださる」というもの。自分のやりたい研究やテーマを軸に、それをより良い形にしていくためにはどうすればよいのかを指導していただける環境にも魅力を感じていました。

修士(博士前期)課程の入試に向けては、研究計画書の作成にあたって大学時代の指導教官にアドバイスをいただきました。また、大学院説明会に参加して、その時にもらった過去問を解いたりもしましたね。

在学中はどんなことに力を注いでいましたか?

目の前の課題に必死で、正直あまり覚えていないんです(笑)。 博士後期課程に関していえば、これは本学位プログラムの大きな魅力でもあるのですが、定期的に研究発表会があり、その発表会に向けて必死に準備に取り組んでいると、自然と博士論文が仕上がっていくというシステムになっているんです。私たちは勝手にそれを「筑波システム」と呼んでいたのですが(笑)。

研究発表の回数がとても多く、発表の都度に先生方から厳しいご指導を頂いていましたが、粘り強くディスカッションと発表を重ねていくことで研究の精度が高まり、最終的にきちんとした博士論文を完成させることができました。社会人が仕事をしながら効率的に修了を目指していけるシステムになっており、これは本当に魅力的ですね。

また、博士後期時代は担当教官の退官時期の関係で、通常3年のところを2年で終わらせる早期修了プログラムで修了しました。大変ではありましたが、週末の時間を最大限に活用し、「平日はずるずる作業をしない」を徹底。メリハリを持って研究を進めることで、仕事に影響を出さずにやりきることができました。

ともに学んだ同級生の雰囲気はいかがでしたか?

20代から60代まで、幅広い年齢・職種の方が集まっていました。在学当時は私が一番年下の方でしたが、とても温かく受け入れていただき、時には愚痴まで聞いていただくことも。正直、入学時はどんな方々と同級生になるのだろう?という不安がありましたが、皆さんとても明るく楽しい方ばかりで、最初の飲み会ですぐに打ち解けられました。これは社会人大学院ならではですね。

また、それぞれのフィールドで課題意識を持っている方が集っていて、そんな方々と一緒にいることで自分が高められるような環境でもありました。 修了した今もつながりがあり、たまに飲み会や旅行に行くこともありますし、学会で一緒になって研究や仕事について情報交換をすることもあります。何より、会って話を聞くだけで、自分もがんばろうという気持ちになるんです。ここでできた仲間の存在は、社会人大学院に行って良かったと思う大きなポイントですね。

大学院で得たものを、今後どのように活かしていきたいですか?

修士(博士前期)課程には、初めは勢いで進学したところがありましたが、実際に学んでみて世界が開けました。大学の卒業研究で学会発表をしてみたり論文を書いたり、とにかく勢いでいろんなことを自己流でやってきましたが、研究者としての作法をしっかりと学んだことで、研究データを客観的・論理的にまとめ、きちんとした論文として世に出すことができたと思います。研究は自分の言いたいことを言えばいいのではなく、データに忠実でなければならない。もし大学院に進まなければ今でも自己流で研究を続けていたのかと思うと、少し恐ろしいです(苦笑)。

指導教官の厳しいながらも愛のある指導によって、博士課程を通じてひとつの論文をまとめ上げられたことは、自分にとって大きな自信につながりました。現在では、一側性難聴の当事者団体を立ち上げ、その代表も務めながらさらなる研究に励んでいるところです。

大学院進学に迷っている方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。勢いで入ってしまえば、あとはきっとなんとかなります。入ってしまえばやるしかないのですから。

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