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キャリア教育 よもやま話Just Mumbling...

第70話 キャリア教育に関する総合的研究 第⼀次報告書(2026年2月1日)

  •  ご無沙汰続きをお詫びいたします。大変遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

     このところ最強レベルの日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が居座っているせいで、日本海側を中心に大雪が続いています。一方、関東をはじめとする太平洋側では、厳しい寒さと乾燥によりインフルエンザの流行が収まりません。皆さま、お変わりなくお過ごしですか?

     さて、今回のよもやま話では、「令和7年度キャリア教育に関する総合的研究 第⼀次報告書」先月末に公開されたというご報告を致します。国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センターが同研究所公式ウェブサイトに全体版及び概要版を掲載していますので、是非ご覧下さい。
    https://www.nier.go.jp/shido/centerhp/career_R7SogotekiKenkyu_1.html

     本報告書は、調査の目的を次のように説明しています。
    「本研究は、キャリア教育に関する実態を把握するとともに、教師及び児童生徒の意識等も明らかにし、今後の各学校におけるキャリア教育の改善・充実を図るための基礎資料を得ることを目的として、おおむね7年に1度、実施しているものである。今回、中央教育審議会において次期学習指導要領に向けた検討、議論が進められていることを背景として、前回調査から6年が経過し、前回と同一の学習指導要領下である令和7年度のタイミングで、各学校・地域の実態に応じた効果的なキャリア教育のより一層の推進・充実に資するべく、令和7年度におけるキャリア教育に関する実施状況と意識についての総合的な調査、分析を行うこととした。」

     キャリア教育全般の実施状況についての貴重な調査結果であると同時に、「キャリア・パスポート」の活用に関する最新データを得ることができる調査結果としても注目する必要があります。

     詳細については、報告書本体をご覧いただくことが最も簡便かつ正確なのですが、ここでは、概要版から特に注目すべき内容をちょこっとだけ引用しておきます。

    • 小学校・児童調査では、「キャリア・パスポート」を使った授業を受けたことのある児童の94.9%が、「キャリア・パスポート」で書いた記録を振り返ることは大切だと思うと回答している。また、94.4%の児童が自己の成長を実感し、93.2%の児童が今後の課題が分かったと回答するなど、その効果を認識している。
    • 中学校・学校調査では、キャリア教育の計画を立てる上で重視した事柄として、「職業や就労に関わる体験活動(職場体験活動等)を充実させること」を選んだ割合は66.3%であり、前回調査の83.1%から16.8ポイント減少している。一方、「現在の学びと将来の進路との関連を生徒に意識づけること」を選んだ割合は71.5%であり、前回調査の63.2%から8.3ポイント増加している。学ぶことと自己の将来とのつながりを生徒が見通すことの重要性の認識が高まっていると推察される。
    • 中学校・生徒調査では、「キャリア・パスポート」を使った授業の実施に関する意識について、「「キャリア・パスポート」を使った授業を、これからも受けてみたいと思う」と肯定的に考えている生徒は77.0%であったのに対し、学級担任調査では、「「キャリア・パスポート」を使った授業をこれからもやってみたいと思う」と肯定的に考えている学級担任は52.9%にとどまっている。「キャリア・パスポート」の活用に関しては、学級担任と生徒との間に活用に関する認識の差異が見られる。
    • 高等学校・学校調査では、キャリア教育の指導計画について、全体計画は85.6%の学校で作成されており、生徒の変化を見取りながら具体的な内容を計画に反映させていることがうかがえる。年間指導計画については、80.8%の学校で作成されており、各教科・科目等における内容が位置付けられていることから、カリキュラム・マネジメントへの理解が進んでいることが推測される。
    • 高等学校・ホームルーム担任調査において、キャリア教育の実施の状況について「「キャリア・パスポート」を活用している」を選んだホームルーム担任は、そうでないホームルーム担任と比較して、「生徒はキャリア教育に関する学習や活動を通して、自己の在り方生き方や進路を真剣に考えている」と回答した割合が10ポイント以上高い。生徒が自己の在り方生き方や進路を真剣に考えることができる教育活動を「キャリア・パスポート」を活用して行うことで、ホームルーム担任が効果を実感している様子が推察される。

     ……おぉ、課題は様々ありますが、キャリア教育への理解が深まり、実践も拡充してきていることが分かりますね!

     なお、今回、基礎となる調査対象校は、原則として前回調査(令和元(2019)年度調査)時に抽出され回答があった学校です。なので、今回の結果は、新型コロナウィルスのパンデミックを挟んでキャリア教育実践がどのように変化し、今日に至っているのかを把握するための基礎資料としても価値をもつと思います。

     また、これらの「継続調査校」に加えて、キャリア教育の推進校として、令和3(2021)年度から令和6(2024)年度までの間に「キャリア教育優良教育委員会、学校及びPTA団体等文部科学大臣表彰」を受賞した学校を調査対象として追加したことも今回の調査の特色です。これらの「推進校」からの回答結果を含め、クロス集計や多変量解析等の詳細な整理・分析を行った後に、「第二次報告書」が取りまとめられて公表される予定となっています。(現在、鋭意作成中ですが、一人の調査協力者の個人的な願いとしては、年度が改まってからあまり時間が経過しないうちに公表に漕ぎ着ければいいなぁと思っているところです。) 


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藤田晃之

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